研究課題/領域番号 |
25861895
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安居 孝純 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (80348771)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生医療 / 歯髄 / 幹細胞 / 骨形成 / 顎骨壊死 / フローサイトメトリー |
研究実績の概要 |
予期的分離法により得られた高純度の歯髄幹細胞を用いてin vivoにおける骨形成能を明らかにするために研究を行った. in vitroでは,CD271(low+)/CD90(high+)の細胞集団より分離した細胞は高いコロニー形成能を示すことが確認できているが,再生医療への応用を考慮した場合にはin vivoでの評価が必要である.そこで,CD271(low+)/CD90(high+) hDPSCをマウス頭蓋骨欠損モデルに移植し,細胞増殖能および骨形成能を評価した.マウス頭蓋骨欠損部にカバーガラスを装着することにより経時的に細胞の増殖や骨形成の状態を透視しながら非侵襲的に観察できるモデルを使用した.CD271(low+)/CD90(high+) hDPSCは,他の分画より分離した細胞と比較し,細胞増殖能が高く,長期間生存することが明らかとなった.しかしながら,マイクロCTを用いて骨形成能を評価したところ,CD271(low+)/CD90(high+) hDPSC移植群に骨形成が認められたが十分ではなかった.そのため,移植部を吸収性メンブレンで被覆し,皮膚切開部を閉創するモデルを用いて評価した.その結果,CD271(low+)/CD90(high+) hDPSC移植群では,他の分画の細胞移植群より高い骨形成能が認められた. CD271(low+)/CD90(high+) hDPSCは,in vitroにおいて高いコロニー形成能,間葉系細胞への高い分化能を示すだけでなく,in vivoにおいても高い増殖能および骨形成能を示すことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年度に予定していたin vivoでの骨形成能の評価についてであるが,マウス頭蓋骨欠損部にカバーガラスを装着し透視しながら非侵襲的に観察できるモデルでは骨形成が十分ではなかった.そのため,2014年度に移植部を吸収性メンブレンで被覆し皮膚切開部を閉創するモデルを用いて評価した.この計画変更により骨形成能の評価に時間を費やしたため,予定よりもやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
まず,マウス顎骨欠損モデルを作成し,予期的に分離したhDPSCを移植し骨形成能の評価を行い,顎骨への細胞移植治療の方法を確立する. 次に,マウスBRONJ(ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死)モデルを作成し,予期的に分離したhDPSC移植治療の有効性を検討する.顎骨壊死を生じている部位周辺は血流に乏しく,細菌感染に曝されていることが多く,幹細胞移植治療にとっても条件が悪い.その顎骨壊死の代表例であるBRONJは,難治性であり治療法は確立されていない.また,基礎研究においても複数の研究機関で研究されているが,有効な治療法については明らかになっていない.ビスフォスフォネート製剤投与終了後も骨壊死範囲は拡大していく可能性が十分に考えられ,骨形成能,血管新生能を有するhDPSCの移植により骨壊死範囲の拡大を抑止できるか,また骨形成を促進できるかを評価する.そこで,細胞増殖能に優れるCD271(low+)/CD90(high+)hDPSCをマウスBRONJモデルに移植し,その有効性を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
以前に分離,凍結保存していた細胞を用いて移植実験を行ったため,抗体の使用が少なく済んだことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
今後,高純度歯髄幹細胞のマウス顎骨への移植を行い,骨形成能や顎骨壊死治療への評価を予定している.そのため,フローサイトメトリーを用いた歯髄幹細胞の分離および免疫不全マウスを用いた移植実験が増加すると思われ,抗体や試薬,マウスの購入に費用を要すると思われる.
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