研究課題
予期的分離法により得られた純度の高いヒト歯髄幹細胞(hDPSC)を用いて、in vivo における増殖能および骨形成能の評価を行った。予期的に分離したCD271(Low+)CD90(High+) hDPSCを培養増幅後に、GFPをレンチウイルスを用いて導入した。この細胞をコラーゲンゲルと混合し、マウス頭蓋骨欠損モデル(免疫不全(NOD/SCID)マウス)に移植した。マウス頭蓋骨欠損部にカバーガラスを装着しcranial windowを作製することにより、移植したGFP陽性細胞が経時的に増殖する状態を透視しながら観察した。CD271(Low+)CD90(High+) hDPSCは他分画の細胞と比較してin vivoにおいても高い増殖能を示し、長期生存することが明らかになった。また、CTを用いて骨形成量について検討したところ、CD271(Low+)CD90(High+) hDPSCは有意に高い骨形成能を示した。さらに、抗ヒト-オステオカルシン抗体を用いた免疫染色を行ったところGFP陽性細胞に発現を認め、移植細胞が骨形成に寄与していることが明らかになった(Yasui et al. Journal of Dental Research. 2016)。予期的に分離した高純度のhDPSCは、高い増殖能および骨形成能を示すことより再生医療への応用に有用であると考えられた。今後は、この細胞を用いて難治性疾患である顎骨壊死に幹細胞移植治療が有効であるか研究を進めていく予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Journal of Dental Research
巻: 95 ページ: 206-214
10.1177/0022034515610748