研究課題/領域番号 |
25861897
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
田辺 耕士 東京歯科大学, 歯学部, その他 (80638156)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スタチン系薬剤 / 再生材料 / ドラッグデリバリーシステム |
研究概要 |
本研究の目的は、高脂血症治療薬(スタチン系薬剤)を用いて、新しい骨再生材料を開発することである。スタチン系薬剤の1つであるフルバスタチンを含有するゼラチンハイドロゲル・スポンジを作成し、薬剤溶出特性を調べた。フルバスタチンを含有するゼラチンハイドロゲル・スポンジは水中で急速に溶解したが、スポンジ溶解後もゼラチンとフルバスタチンの分子は結合した状態にあり、結合状態でも薬理活性を有していることが明らかとなった。このフルバスタチンとゼラチンの関係性は、Tanabe K, Miura T, Yoshinari M. Electrostatically Coupled State of Fluvastatin with Gelatin in Vitro. Journal of Hard Tissue Biology. 2013;22(4):451-4.に掲載された。この結果、フルバスタチンは、巨大分子であるゼラチンに結合することで、血流に流されることなく局所に長期間留まることが明らかとなった。しかし、フルバスタチンがゼラチンと結合したまま細胞に効果を示すかが明らかでない。スタチン系薬剤には至適濃度が存在するため、このメカニズムの解明は、今後の創薬デザインに大きな影響を及ぼすことが予想される。 そのために、次年度には動物実験および動物細胞で実験を行い、フルバスタチン・ゼラチン結合物の、海綿骨内での効果の確認と、細胞への効果を検証していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フルバスタチンを含有するゼラチンハイドロゲル・スポンジは、当初予想された薬剤徐放メカニズムでなく、スポンジ形状崩壊後もゼラチン分子と結合することによって、もう1段階の徐放メカニズムとなっている事が明らかとなった。このため、当初予定された実験計画は行えず、フルバスタチン・ゼラチン結合物の細胞への効果を検証する必要性がでてきた。しかし、この徐放メカニズムが明らかとなったことは大きな進歩であり、次年度に予定されている動物実験を行う上で、たいへん有効な情報と考えられる。 フルバスタチン・ゼラチン結合物の細胞への効果の検証は、薬剤が細胞に到達するまでの、いわば骨再生メカニズムの一部とも考えられ、次年度に予定されている内容でもあることから、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度に予定している動物実験を、研究計画に沿って遂行する予定である。これに加え、本年度の結果から、フルバスタチン・ゼラチン結合物の細胞への効果を検証する必要性が生じたため、これを追加して行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
フルバスタチンを含有するゼラチンハイドロゲル・スポンジは、当初予想された薬剤徐放メカニズムでなかった。このため、当初予定された実験計画は行えず、次年度使用額が生じることとなった。 次年度に予定している動物実験を、研究計画に沿って遂行する予定である。これに加え、本年度の結果から生じた、フルバスタチン・ゼラチン結合物の細胞への効果を検証を、次年度使用額で行う予定である。
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