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2015 年度 実績報告書

なぜ長期経過観察後にも頸部リンパ節転移は生じるのか

研究課題

研究課題/領域番号 25861915
研究機関東邦大学

研究代表者

高橋 謙一郎  東邦大学, 医学部, 助教 (90613604)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード口腔癌 / 原発巣 / 頸部リンパ節転移転移巣 / ゲノム / 相同性 / 相違性 / SNPsアレイ
研究実績の概要

口腔癌において後発頸部リンパ節転移の生じるまでの期間は症例により様々であるため、経過観察期間や予防的化学療法の長期化、医療コストの増大の一因となっている。本研究の目的は、一次治療終了後に長期間経過してから生じる頸部リンパ節転移症例を予め予測する因子を解明するため、このような症例の癌細胞が比較的早期に転移するものと比べて遺伝学的にどう異なるのかを高密度SNPsアレイを応用して全ゲノムコピー数変異およびコピー数変異のないヘテロ接合性消失(CN-LOH)解析を行い、転移時間の差異が生じるメカニズムを明らかにすることである。
10名の舌扁平上皮癌患者(OTSCC)からそれぞれ得られた原発巣(PT)および頸部リンパ節転移巣(MLN)の計20サンプルを対象に、PTとMLN間での相同性および相違性を評価した。階層クラスタリング解析の結果、10症例中7症例において、原発巣-転移巣のクラスターが形成され、原発巣と同一患者の転移巣は概ね遺伝的に共通した癌細胞集団で構成されていることが裏付けられた。10症例中6例において、8q11.21, 8q12.2-3, 8q21.3のgainおよび22q11.23のlossが共通してみられた。また16p11.2のCN-LOHは10症例中9例で共通してみられ、この変異は発癌過程に大きく関与する可能性が考えられた。一方で、20q11.2のgainは10症例中5例の転移巣のみでみられた変異であり、統計学的有意差をもってp=0.0325)、転移巣特異的な変異であることが示され、転移過程への大きな関与が示唆された。本研究から、OTSCCの原発巣および同一患者の転移巣におけるゲノムは大部分が共通している一方、20q11.2 gainのように”clonal evolution”を通して転移巣特異的に検出された変異が、転移巣の形成に必要であることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] The high-temperature requirement factor A3 (HtrA3) is associated with acquisition of the invasive phenotype in oral squamous cell carcinoma cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Moriya Y, Uzawa N, Morita T, Mogushi K, Miyaguchi K, Takahashi K, Michikawa C, Sumino J, Tanaka H, Harada K.
    • 雑誌名

      Oral Oncology

      巻: 51 ページ: 84-89

    • DOI

      10.1016/j.oraloncology.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 周術期チームにおける口腔機能管理システムと効率よい管理のための方策─術前管理期間を左右する2つの因子と4つの管理タイプ,地域における医科歯科連携─2015

    • 著者名/発表者名
      関谷 秀樹, 福井 暁子, 高橋 謙一郎, 堀江 彰久, 寺田 享志, 落合 亮一
    • 雑誌名

      日本臨床麻酔学会誌

      巻: 35 ページ: 780-789

    • 査読あり
  • [学会発表] 舌癌同一患者における原発巣-転移リンパ節間のゲノム異常の相同性と相違性について2015

    • 著者名/発表者名
      森田琢磨、鵜澤成一、茂櫛薫、名生邦彦、高橋謙一郎、道川千絵子、炭野淳、出雲俊之、原田清
    • 学会等名
      第53回日本癌治療学会総会・学術大会
    • 発表場所
      京都府京都市 国立京都国際会館
    • 年月日
      2015-10-31
  • [学会発表] 旧義歯を利用して作成したISOをねじ止めにより維持した超高齢者の上顎部分切除例2015

    • 著者名/発表者名
      関谷 秀樹, 高橋 謙一郎, 福井 暁子, 藤本 慶子
    • 学会等名
      第32回日本顎顔面補綴学会学術集会
    • 発表場所
      東京都文京区 東京医科歯科大学
    • 年月日
      2015-06-19
  • [学会発表] 神経変性疾患による運動不全に対し舌接触補助床を用いて胃瘻栄養を終了した1症例2015

    • 著者名/発表者名
      藤本 慶子, 高橋 謙一郎, 福井 暁子, 関谷 秀樹
    • 学会等名
      第32回日本顎顔面補綴学会学術集会
    • 発表場所
      東京都文京区 東京医科歯科大学
    • 年月日
      2015-06-19
  • [学会発表] Cetuximab併用化学放射線療法中、再発性水痘を発症した1例2015

    • 著者名/発表者名
      堀越 皓太, 高橋 謙一郎, 関谷 秀樹
    • 学会等名
      第69回日本口腔科学会学術集会
    • 発表場所
      大阪府大阪市 大阪国際会議場
    • 年月日
      2015-05-14

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公開日: 2017-01-06  

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