研究課題/領域番号 |
25861917
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
樋口 佑輔 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (20635536)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨延長 / メンブレン / FGF-2 / 骨髄幹細胞 / 吸収性人工骨 |
研究実績の概要 |
骨延長術は、手術浸襲も比較的少なく、骨そのものを延長して骨の形態を整える他に、その周囲軟組織再建を含めたhistogenesisといわれている。 本研究は、顎骨モデルにおいて、吸収性人工骨にgrowth factorのひとつである線維芽細胞増殖因子(FGF-2)の徐放化を図るためにゼラチンハイドロゲル・骨髄幹細胞を応用した顎骨延長術に、さらに、骨形成・粘膜軟組織の再建治癒促進を図るために、吸収性薬剤徐放性メンブレンで被覆した場合に、より早期に成熟安定した骨形成および周囲軟組織の再建が得られるか否かを評価解明し、臨床応用を目指すことを目的としている。本年度は、昨年度に引きつづき、FGF-2のゼラチンハイドロゲルによる徐放性の確認および顎骨延長部への応用を行い、延長部の新生骨組織におよぼす影響についての検討およびメンブレンにて骨延長部を被覆することによる骨形成の影響についての検討を行った。FGF-2をゼラチンハイドロゲルに含有させ顎骨延長に用いることにより、FGF-2の担体としてコラーゲンを用いた群と比べ、軟X線、マイクロCT、pQCT、von Kossa 染色、カルセイン染色により延長部の骨量の増加や新生骨の形成促進、TRAP 染色により破骨細胞数の増加を認め、顎骨延長にFGF-2の担体としてゼラチンハイドロゲルを用いる事により、延長部位の新生骨形成の促進や骨のリモデリングの亢進を示すことを明確にすることができた。メンブレンで骨延長部を被覆することにより、新生骨の形成促進が示唆された。また、間葉系幹細胞を骨髄液から抽出する分離機器を使用し、in vivoでの骨形成能を評価するため、実験動物の皮下に吸収性人工骨と混合させて移植し、異所性骨形成能についてマイクロCTや組織学的評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東京医科歯科大学動物実験センターの改修工事が、平成25年度中途から平成26年度中途にかけて急遽行われることになり、当初予定していた動物実験の数を行うことが困難となった。そのため、当初より実験計画がやや遅れているのが現状である。しかしながら、実験が制限されたなかでも、これまでの研究において、綿密な研究計画を立案し、実験の方向性を示すことができており、国際学会を含めて研究内容をまとめ公表することができている。
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今後の研究の推進方策 |
薬剤徐放効果の確認およびメンブレンの作成を行い、適正な培養条件を引きつづき検討していく。使用方法やFGF-2の至適濃度の確認、最適な徐放期間の解明、長期間の観察等を行い、他の成長因子の応用についても検討をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
東京医科歯科大学動物実験センターの改修工事が行われていたため、実験計画手続き・承認および実験動物・実験施設の利用制限があったため、当初計画の実験動物の購入およびそれに伴う実験試薬等の消耗品やデータ解析装置等の購入が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物の購入および実験装置、それに伴う実験試薬等の消耗品やデータ解析装置の購入等に使用する。また引きつづき成果発表に伴う論文発表、情報収集や成果発表のための旅費等に使用する。
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