研究課題
H25年度の研究成果としても報告したが、われわれが行ってきたこれまでの研究で扁平上皮癌で高発現すると考えられるCD109が培養細胞の培養上清中に分泌されていることに着目して、CD109が腫瘍移植マウスモデルの血中に分泌されているかどうか検討した。その結果、ELISA法により血中CD109の同定が可能であり新規血液腫瘍マーカーとしても応用可能であることが示唆された。そこでH26年度は基礎実験として、CD109の結合タンパクを検索することによりCD109の生物学的機能を検討することを試みた。FLAG標識型CD109高発現細胞の細胞溶解液からFLAGアフィニティーゲルを用いてCD109を回収し、それを質量解析した。その結果、結合タンパク質の候補として同定された数種類のタンパク質の一つにエキソソームマーカーであるCD81が同定された。エキソソームは直径約100nmの細胞外分泌小胞であり、培養上清中に分泌されているCD109はエキソソームを介して細胞外へ放出されたものである可能性が示唆された。一方、臨床研究としてH25年度にひきつづき、当科を受診した口腔癌患者および口腔前癌病変患者から提供いただいた血液検体を用いて、基礎実験でも使用したELISAキットにて血中CD109濃度を測定、臨床情報との関連性を検討した。その結果、CD109濃度を腫瘍群対非腫瘍群で比較したところ腫瘍群で低値であり、さらにT分類および病期分類(Stage)では血中CD109濃度との間に負の相関を認めた。また5年生存において生存群対非生存群で比較したところ非生存群で低値であり、腫瘍進展にともない血中CD109濃度は低下する傾向があった。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 459 ページ: 252-258
10.1016/j.bbrc.2015.02.093