口腔癌患者に対して、EPA強化栄養を用いた周術期栄養療法の効果を確認するため、臨床的な試適栄養量の研究を行うこととした。そのために関節熱量計(呼気ガス分析装置、FIT2100)を購入し、口腔癌患者に対しての検討を開始した。対象は当科を受診した口腔癌一時症例のうち、腫瘍切除術と血管柄付き遊離皮弁移植による再建術を同時に実施し、間接熱量計を装着した上で、栄養評価が可能であった患者とした。術前に間接熱量計を用いてRMR(安静時代謝率)を測定し、当科で従来から実施しているHarris-Benedoctの予測式より算出された栄養所要量との比較を行い、実際の投与栄養量と各種栄養学的指標との関連性を検討した。結果としては術前に測定したRMRがHarris-Benedoctの予測式より算出された栄養所要量よりも高値となる傾向があった。また栄養充足率の向上に伴い体重減少率も減少した。さらにプレアルブミン値に関しては、RMRによる栄養所要量を基準とした方が良い可能性が示唆された。以上の報告を第33回日本口腔腫瘍学会・学術大会にて発表し、優秀ポスター賞を受賞した。また口腔内カメラ及び光源を用いて周術期免疫栄養療法が創部治癒の促進に関連するかの観察研究も開始している。一方in vitroでのEPA強化栄養による抗腫瘍免疫応答動態の探索については、試適条件の確立に時間がかかっており、前記の臨床研究の成果についてまずは論文作成した。現在投稿中である。
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