研究課題/領域番号 |
25861939
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
畦坪 輝寿 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30633606)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔癌 / MRI / Dynamic study / 薬物動態解析 / 腫瘍増殖能 / 腫瘍内血流動態 / 腫瘍血管新生 / 免疫組織化学 |
研究実績の概要 |
本研究は口腔癌に対するDCM-T1WIの薬物動態解析を行い、腫瘍内血管変化との関連性を解明することを目的としている。昨年度に調整したDCM-T1WI撮像sequenceで本年度はデータ収集を行い、造影前のT1測定(T1map作成)、造影中のDynamic-curve解析を経て信号強度を造影剤濃度に変換する薬物動態解析を行った。具体的にはプラズマコンパートメントと血管細胞外コンパートメントを有した2つのコンパートメントモデル解析であるTofts modelを使用し、プラズマ中の造影剤が毛細血管を通って血管や細胞外腔の間質に漏れ出す移行時間(Ktrans)や、細胞間隙から毛細血管へ戻る移行時間(kep)、血管細胞外腔の容積率(Ve)、造影剤投与直後の腫瘍内造影剤濃度-時間曲線下面積(IAUC)を算出する。これらのパラメータを数値として、またヒストグラムの変化として経時的に診断することで、より精度の高い腫瘍組織内血流動態の把握ができる。扁平上皮癌において頬粘膜癌ではKtrans:0.112、Kep:1.317、Ve:0.102、iAUC:11.442、下顎歯肉癌ではKtrans:0.462、kep:0.869、Ve:0.538、iAUC:71.742と数値が大きく異なり、同じ組織型でも部位によってパラメータが異なることが示唆された。来年度も継続してDCM-T1WIデータを蓄積しながら、部位、また分化度などとの関連性を組織学的および生化学的に検討することとした。 また頭頸部領域には稀な疾患であるが、他の主な頭頸部疾患と比較検討するためにDynamic-curve 解析したものを「顎下腺Myoepithelial carcinomaの一例」としてNPO法人日本歯科放射線学会第19回臨床画像大会および教育研修会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度にDCM-T1WIにおける薬物動態解析のための画像撮像プロトコールを調整・決定できた。本年度以降は継続して新規患者のMRI撮像データの収集を行うことができている。またMRI撮像を経て薬物動態解析も行なっている。薬物動態解析終了例については手術材料を用いて病理標本作製を行い、病理組織学、免疫組織学手法を用いてデータ解析、検索を行っており、円滑に計画が進んだと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍内血管新生に関する血管内皮細胞増殖因子の発現や腫瘍内微小血管密度、血管数の検討を行うため、VEGF、flk-1、CD31、34染色を行う。顕微鏡用デジタルカメラで染色標本を観察し画像解析ソフトで解析を行う。 また必要に応じて病理スライド検査支援システムも利用し免疫組織学的に検討を行う。またマイクロアレイ解析を行い、その発現変化から血管新生に代表的な関連分子を検索し、その発現の増減から生化学的な関与を解明する。 DCM-T1WIでの薬物動態解析データと、得られた免疫組織学データ、生化学的解析データを比較し、相関関係の有無などを検討し統計学的に解析を行う。
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