研究課題/領域番号 |
25861940
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中川 貴之 広島大学, 大学病院, 病院助教 (30456230)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ビスフォスフォネート関連顎骨壊死 |
研究概要 |
われわれはこれまでM-CSF存在下でRANKL によるマウス破骨前駆細胞の分化誘導の検証、BP 存在下での分化誘導の検証、BP 存在下と非存在下で培養した前駆細胞のマイクロアレイ解析によるBP 製剤標的候補遺伝子の網羅的探索を行った。その結果、RANKL 投与群は破骨細胞の特徴である多核巨細胞への変化がみられたが、RANKL とBP を同時に添加した群では破骨細胞への分化は見られなかった。そこでBP 製剤投与下と非投与下で培養した破骨前駆細胞にRANKL による分化誘導を加え、cDNA マイクロアレイ解析にてmRNA 発現レベルが異なる遺伝子の網羅的解析を行った。RANKL 単独群に対しゾレドロネート同時添加群で1/2 以下に発現低下した分子を抽出したところNfatc1とCar2が同定された.これらの遺伝子に対してreal-time PCR,Western blottingでの発現解析を行ったところ,RANKL 単独群に対しゾレドロネート同時添加群での有意な発現低下を認めた。窒素ビスフォスフォネートはメバロン酸経路のファルネシル二リン酸合成酵素(FPPS)を阻害することにより、骨代謝に作用する。メバロン酸経路におけるファルネソールとゲラニルゲラニオールの形成(プレニル化)はFPPS の働きに依存しているが、BP 製剤は低分子量GTP 結合蛋白のプレニル化を障害し破骨細胞の機能低下やアポトーシスと関連していると推測されている。このため現在、BP により阻害されているファルネソールとゲラニルゲラニオールによるプレニル化を誘導し、候補遺伝子の発現を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
材料となる細胞は市販のマウス破骨前駆細胞を利用して行っているが、高価である上実験に使用できる細胞量に限りがあり、短時間で多くの実験を行うことが困難であること、またそういった性質上、実験結果一つ一つをより注意深く検討し、不要な実験はなるべく行わないように考慮しながら検討を行っている。またマイクロアレイ解析の結果さらに重要を考えられる分子の同定も併せて行っているため、当初の計画に加えさらに時間を要する結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
ビスフォスフォネートは破骨細胞のアポトーシスを誘導するとの報告から、カスパーゼ3の発現やビスフォスフォネート存在の有無による細胞生存率の検討も必要である。またゲラニルゲラニオールを用いたビスフォスフォネートに対する薬効の阻害の検討、さらに新規の分子の発現解析を先に同定したNFATc1とCar2とともに検討する必要がある。現在必要である実験を立案し遂行している最中であるが、2013年口腔外科学会総会での発表のように適時小括となる段階で学会発表を行い、広く社会への報告を行う予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費の請求が年度をまたいで生じた可能性があるため。 2014年度明けの請求で次年度使用額は2013年度の計画通りに使用される予定である。
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