研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌細胞株HSC2, HSC3, HSC4に対して、ジクロロ酢酸ナトリウム(DCA)、α-リポ酸、メトホルミンの何れかと5-FU、CDDP、DOCの何れかを、それぞれ単独あるいは同時併用処理して、MTT assayにて細胞増殖抑制効果を検討したところ、メトホルミンと5-FUの同時併用処理が口腔扁平上皮癌細胞株に対して最も効果的であった。すなわちメトホルミン (0.01-10 mg/ml)、5-FU (0.1-4μg/ml)はそれぞれ用量依存的な細胞増殖抑制効果を示し、メトホルミン (4 mg/ml)、5-FU(2.5μg/ml)の併用により細胞増殖抑制効果が増強された。またこの際、ELISAによるLactate assayにて乳酸産生の抑制が認められ、Western blot.にてHIF-1α・mTOR・Akt1の発現抑制ならびにAMPKαの発現増強が見られ、TUNEL法にてアポトーシスの増強を認めた。さらに、担癌ヌードマウスをメトホルミン (200 mg/kg, i.p.)、5-FU (10 mg/kg, i.p.)それぞれ単独あるいは併用にて治療したところ、担癌ヌードマウスに対して、メトホルミンと5-FUはそれぞれ単独投与と比較して併用投与により抗腫瘍効果が有意に増強され、残存腫瘍においても免疫組織染色にてHIF-1α・mTOR・Aktの発現抑制およびAMPKαの発現増強が見られ、TUNEL法にてアポトーシスの増強を認めた。以上の結果から口腔扁平上皮癌に対してメトホルミンと5-FUの併用療法は、Warburg効果の阻害を介して顕著な抗腫瘍効果を発現する可能性が示唆された。
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