研究課題/領域番号 |
25861949
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
FERDOUS Tarannum 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (70647932)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドセタキセル / 耐性 / RTP3 / 口腔癌 |
研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2、HSC3、HSC4)にDocetaxel(DOC)を低濃度から徐々に暴露し続けることでDOC耐性口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2/DOC、HSC3/DOC、HSC4/DOC)を作製し、両細胞株間で特異的な発現変動を示す遺伝子をマイクロアレイで検索することにより、Chemosensory Proteinの一つとされるReceptor transporter protein 3 (RTP3)、別名Transmembrane protein 7をDOC耐性に関わる候補因子として同定できた。そこでRTP3の機能解析を行った。すなわちsiRNA (silencer; Thermo Fisher Scientific)を用いて、DOC耐性口腔扁平上皮癌細胞におけるRTP3発現を抑制することにより、DOC耐性株のDOCに対する感受性が回復した。次に、TS-1+DOC併用術前化学療法を行った口腔扁平上皮癌患者40名の治療前生検材料を用いて、免疫組織学的にRTP3の発現の有無・程度を検索し、さらに治療効果との相関性を検索したところ、TS-1+DOC併用療法前の生検材料におけるRTP3の高発現は、本治療に対して有意(P<0.05)に抵抗性を示した。以上の結果から口腔扁平上皮癌におけるRTP3の高発現は、DOC耐性ならびに予後不良と関連している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2、HSC3、HSC4)とそれらを親株とするDOC耐性口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2/DOC、HSC3/DOC、HSC4/DOC)を作製し、両細胞株間で特異的な発現変動を示す遺伝子をマイクロアレイで検索することにより、RTP3をDOC耐性に関わる候補因子として同定できた。本年度はsiRNA (silencer; Thermo Fisher Scientific)を用いてRTP3の機能解析を行い、DOC耐性口腔扁平上皮癌細胞におけるRTP3発現を抑制するにより、DOC耐性株のDOCに対する感受性が回復することを確認できた。さらに、TS-1+DOC併用術前化学療法を行った口腔扁平上皮癌患者40名の治療前生検材料を用いて、免疫組織学的にRTP3の発現の有無・程度を検索し、さらに治療効果との相関性を検索することにより、RTP3の高発現は、本治療に対して有意(P<0.05)に抵抗性を示す可能性を明らかにできた。以上から、おおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
DOC耐性に関わる候補因子としてRTP3を同定できた。ただし、RTP3そのものが、Chemosensory Proteinの一つであること以外は、ほとんど研究が進んでいないため、IPAを用いたネットワーク解析により、RTP3の制御に関わる因子を探索し、口腔癌におけるドセタキセル耐性のメカニズムを検討して行く予定である。この研究の過程で新たなDOC耐性に関わる候補因子が見出された場合には、その因子について臨床的な有用性も併せて検討を行う。
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