マイクロアレイ解析を用いて、口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2、HSC3、HSC4)とそれぞれのDocetaxel(DOC)耐性口腔扁平上皮癌細胞株間に特異的な発現変動を示す遺伝子を検索することにより、Chemosensory Proteinの一つとされるReceptor transporter protein 3 (RTP3)、別名Transmembrane protein 7をDOC耐性に関わる候補因子として同定できた。そこで、siRNA (Silencer Select; Thermo Fisher Scientific)を用いて、DOC耐性口腔扁平上皮癌細胞におけるRTP3発現を抑制し、Hoechst33258染色、Western blot.によるCleaved caspase-3の発現を検索することにより、DOCによるアポトーシスの誘導を検討したところ、RTP3-SiRNA導入DOC耐性口腔扁平上皮癌細胞株は、親株と同程度まで、DNA断裂や凝集を示す細胞数が増え、Cleaved caspse-3の発現が増強したことより、DOC耐性口腔扁平上皮癌細胞株のDOCに対する感受性すなわちアポトーシスの誘導が回復したと考えられた。現時点では、RTP3の研究に関する報告は少なく、未だに不明な点が多いが、今後の研究で新たな特徴が発見される可能性が大きい。RTP3に対する注目度が高まり、RTP3を標的とした治療法の開発は、DOC耐性を示す口腔扁平上皮癌に対する有効な治療へと繋がることが期待できる。
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