研究課題/領域番号 |
25861950
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
内田 堅一郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20379986)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / ゲノム / 細胞・組織 |
研究概要 |
口腔扁平上皮癌のみならず多くの悪性腫瘍は、ゲノムに生じる様々な異常の積み重ねにより生じる。染色体領域の増幅は、遺伝子の発現上昇に密接に関わる異常であり、乳癌ではHER2遺伝子の増幅が乳癌の増殖に寄与しており、それを標的とした治療薬が臨床応用されている。口腔扁平上皮癌では以前より11q13領域に増幅が生じることが知られている.われわれは口腔扁平上皮癌症例50例のArray-CGH法によるDNAコピー数異常のスクリーニングを行い約20%の症例に8q24.3領域に位置する約100kbの領域で増幅が生じることを発見した.本研究では,8q24.3領域および11q13領域位置する遺伝子の中から、口腔扁平上皮癌で高発現している遺伝子を、我々が有するデータおよび文献検索の結果に基づいて選択し,細胞株および臨床検体のパラフィンブロックを用いて、Real time PCRや免疫染色等の分子細胞遺伝学的手法を用いて検討を行い、口腔扁平上皮癌で高発現している遺伝子を明らかにする。さらに、RNA干渉法および遺伝子発現ベクターを用いた遺伝子発現改変技術を応用して、高発現が確認された遺伝子の、口腔扁平上皮癌における機能を検討する。最終的には、データを統合することにより、8q24.3領域および11q13領域の増幅の生物学的役割および口腔扁平上皮癌の新規分子標的なり得る遺伝子を明らかにすることを目的とする。本年度は,Real time RT PCR法を用いて,11q13領域に位置する16遺伝子および8q24.3に位置する8遺伝子の発現を網羅的にスクリーニングした.その結果,11q13領域では口腔扁平上皮癌細胞全てで高発現している遺伝子を1つ,複数の細胞株で高発現している遺伝子を4つ認めた.8q24.3領域に関しては,今回用いたスクリーニング法では,候補遺伝子を選定することができなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,口腔扁平上皮癌の新規治療標的の発見を目的としている.本年度は,候補遺伝子の絞り込みを目的とした検討を予定した.当初の目的は達成できたが,RNA干渉法を用いた機能的解析がまだ行えていないので上記とした.
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今後の研究の推進方策 |
今後の検討は,11q13に位置する遺伝子の機能解析を精力的に行う.特に,全口腔癌細胞株に高発現していた遺伝子を中心に検討する.同遺伝子の発現抑制に対する口腔癌細胞の反応を中心に検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
標的遺伝子に対するSiRNAを購入する予定であったが,一遺伝子当たり8万円程度の金額であり,本年度は資金の都合上標的遺伝子の一部に対して購入した. 次年度に交付される研究費と併せて,残りの必要なSiRNAを購入して検討を行う予定である.
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