研究課題/領域番号 |
25861952
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田中 宏史 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (80647371)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | microRNA |
研究概要 |
生体投与に向けた核酸の修飾ついては、LNA の配列を Gapmer と Mixmer にし、両者で比較すると Gapmer 配列の方が低濃度での細胞増殖抑制効果に優れいることが分かった。miR-361-3p のシード配列に対する相補鎖を完全に含めた 21~15 mer の機能阻害効果が顕著であることが分かった。miR-361-3p に対する完全相補鎖であるLNA/DNA ASO の機能阻害効果はほぼ消失していた。LNA/DNA ASO に S 化修飾を加え それをを 10 nM 以上で導入すると非特異的細胞増殖抑制を認めることが分かった。さらに S 化骨格は LNA/DNA ASO の機能阻害効果を減弱させることが分かった。 初代培養細胞に対する ASO の細胞増殖抑制効果の評価については、初代培養細胞に miR-361-3p, miR-133a/b に対する ASO を 10 nM の濃度で導入したところ、口腔癌細胞株と同様に、著明な細胞増殖抑制効果を認めた。 OncomiR の標的遺伝子の探索については、マイクロアレイ解析、 (Ingenuity Pathway Analysis) IPA を用いて発現変動遺伝子 mRNA の 3’-非翻訳領域 (UTR) に OncomiR の結合配列を有する遺伝子を抽出し、標的遺伝子候補を探索した。miR-361-3p の標的遺伝子候補として OSR2 を、miR-133a/b の標的遺伝子候補として CEBPA を抽出した。口腔癌細胞に miR-361-3p を導入すると OSR2 が、miR-133a/b を導入すると CEBPA の発現量が有意に低下することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養細胞に関しては手術材料となるため症例が限定され、症例数が少ないながらも仮説通りの結果を得ることができた。正常口腔粘膜の初代培養細胞の取得が困難でありこれに関しては未だ結果が得られておらず正常細胞に与える ASO の影響は不明である。 標的遺伝子候補の抽出を行ったが、ルシフェラーゼアッセイによる標的遺伝子の同定と口腔癌細胞における分子機構の解明はまだ行えていない。 in vivo における ASO の抗腫瘍効果の検討は現在予備実験の段階である。アテロコラーゲンを媒体として ASO を尾静脈より全身投与したが有意な結果が得られなかった。そのため 様々な DDS を試みているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
口腔癌組織由来初代培養細胞は限定されるが、miR-361-3p, miR-133a/b に対する ASO の細胞増殖抑制効果の確認を症例数を増やし継続して行っていきたい。初代培養技術は取得できているが、正常口腔粘膜の初代培養細胞の取得が困難である。症例数は少数となる可能性はあるがこちらも継続して行って行く予定である。また、マイクロアレイを用いて同定した標的遺伝子候補に関して、ルシフェラーゼアッセイによる同定と口腔癌細胞における分子機構の解明には至っておらず、今後の実験で進めていきたい。今後もっとも重点的に取り組みたいのが in vivo における ASO の抗腫瘍効果の検討である。現在は、全身投与におけるドラッグデリバリーシステム (DDS) に苦慮している。様々な DDS を試行錯誤しているが全身投与ではなく局所投与等、投与方法の変更も考慮に入れ今後進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定通りの実験を進行させた結果次年度使用額が生じた。 次年度に必要になる物品購入に充てる予定である。
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