研究課題
本研究は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下、OSAS)に対し、上下顎同時前方移動術(以下、MMA)を施行するときの、より効果的な前方移動量を明らかにすることを目的とした。そこで、小下顎を呈する顎変形症患者に対し、上下顎同時前方移動術を施行したときの気道形態の変化をCT画像を用いて3次元的に評価し、さらに流体力学的に解析を行った。その結果、上下顎を前方に移動することにより、気道断面積では軟口蓋後方部と口蓋垂先端部で有意に拡大していた。気道体積は、軟口蓋後方部から喉頭蓋基部までの総体積、軟口蓋後方部から口蓋垂先端部までの上部体積、口蓋垂先端部から喉頭蓋基部までの下部体積のすべての体積が有意に拡大していた。流体力学的解析の結果、圧力はすべての部位で有意な変化は認めなかったが、流速は軟口蓋後方部、口蓋垂先端部の2部位で有意に緩やかになっていた。また、術前後に睡眠時の呼吸因子に関して検討を行ったところ、AIおよびAHIは有意に減少していた。この結果より、上下顎をできるだけ前方に移動しなくても、睡眠時の呼吸障害を改善できる可能性が示唆された。そこで、実際に重度のOSAS患者に対し、審美性を考慮しMMAを行った。その結果、睡眠時の呼吸障害は完全ではないものの改善され、良好な結果を得ることができた。
すべて 2015
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J sleep disorders & therapy
巻: 4 ページ: 187
http://dx.doi.org/10.4172/2167-0277.1000187