研究課題
サイトケラチン(Cytokeratin:CK)は細胞骨格を形成するタンパク質である。申請者らは高分化型口腔扁平上皮癌(Oral squamous cell carcinoma:OSCC)細胞がCK17を高頻度に発現し、正常細胞がCK17を発現せずCK13を発現する事を見出した。この事からCK17は、正常細胞が癌化する際に発現し、OSCCにおいて特異的である事が考えられる。そこで本研究の目的は、まず遺伝子レベルでのCK17の発現機序を検索しOSCCの発生メカニズムをin vitroにおいて検索する事である。次にOSCCに特異的なCK17と上皮間葉系のマーカーであるΔNp63を用いて癌幹細胞(Cancer stem cell:CSC)を同定する事である。まず、OSCC原発巣にCK17が高発現していることから末梢血中にCK17が発現しているか検索した。当院の患者19名から末梢血を採取したところ、全員の末梢血からCK17が発現していることが分かった。さらに予後不良群と予後良好群に分けて術前、術後のCK17発現量を比較すると、予後不良群の方が有意に術後のCK17発現量が増加していた。以上から術前、術後のCK17発現量を検索する事で予後が分かり、CK17を予後マーカーとして使用できる可能性がある事が考えられた。さらに症例を増やし結果を報告する予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究結果は順調に出ており論文作成は終了し、今後投稿する予定である。
英語論文を作成する。可能な限り学会報告を行う。
学会出張が減少し旅費の使用が少なかったため。
学会への出席を行ない、論文も積極的に投稿していく。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Oncology report
巻: 33 ページ: 2161,2168
10.3892/or.2015.3838.