研究課題/領域番号 |
25861966
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
雨宮 傑 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90398389)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 再生医学 / 細胞・組織 / 歯学 / 臨床 |
研究概要 |
われわれは、歯周組織の再生に最適な新たな培養細胞シートの開発を念頭に、羊膜上にて歯根膜由来細胞を骨分化誘導培養し、新規羊膜上培養歯根膜由来細胞シートの作製を行った。 羊膜は、帝王切開時の胎盤より採取し、洗浄後、羊膜上皮細胞を除去したものを研究に供した。また歯根膜由来細胞は、抜去した智歯より歯根膜組織を採取し初代培養後、3~4代継代したものを使用した。継代培養した歯根膜由来細胞は、羊膜上に播種し、約3週間、骨分化誘導培地上で培養を行った。そして、作成した羊膜上培養歯根膜由来細胞に対して、蛍光抗体法による免疫染色を行った。なお、当研究の実施および歯根膜組織、羊膜の利用については、該当患者に対し本研究内容・安全性の説明を行い、同意を得た上で実施した。また、京都府立医科大学医学倫理審査委員会の許可を得た上で実施した。 結果として、骨分化誘導培養を行い作製した羊膜上培養歯根膜由来細胞は、vimentin、Ki-67陽性細胞の局在を認め、細胞間にはdesmoplakin、ZO-1が発現していた。また、歯根膜由来細胞の基底部では、laminin 5/10、collagen IV/VIIが発現しており、骨芽細胞マーカーであるosteocalcin,osteopontin および bone sialoproteinも発現を認めた。 骨分化誘導培養を行い作製した羊膜上培養歯根膜由来細胞は、羊膜上において歯根膜としての性質を保持しつつ歯根膜由来細胞が増殖していた。また、デスモソームやタイト結合のマーカー(desmoplakin,ZO-1)、基底膜構成成分(laminin 5/10,collagen IV/VII)の発現を認めたことより、細胞間接着装置が存在し、基底膜構造を有する培養細胞シートであることが示唆された。そしてさらに、骨芽細胞マーカーであるosteocalcin,osteopontin および bone sialoproteinが発現を認めており、新生骨形成能、すなわち歯周組織再生を促進する細胞を有しているものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
羊膜上にて、歯根膜由来細胞の骨分化誘導培養を行い、培養細胞シートの組織学的ならびに免疫組織化学的解析がほぼ終了した。以上より、現在までの研究の達成度としては、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記にて作成された培養シートは、実験動物への移植を行い、細胞の遊走増殖を経時的に観察し組織学的、免疫組織化学的検討を行う。移植方法は、安定した再現性を考慮し、細胞を一箇所に留めることが可能である腎被膜下への細胞移植法を予定している。そして移植後における培養シートの経時的変化を評価する。羊膜を基質とすることで、細胞の足場を形成され新生骨の産生が見られるものと予想している。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度内に研究試薬の調達が間に合わず、予定額を下回った。 各種研究試薬、移植実験のための実験動物の購入、ならびに研究成果発表のための旅費・投稿費として使用する予定である。
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