研究課題/領域番号 |
25861969
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
兒玉 正明 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40423975)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | テロメラーゼ / 電気化学測定法 / 口腔癌 |
研究概要 |
我々はテロメラーゼ活性を指標とした電気化学診断システムを用い同法を用い従来の方法よりも簡便かつ容易に口腔癌患者のテロメラーゼ活性が測定可能であることをClinical Chemistryにて報告した(Clinical Chemistry 59:1.289-295.2013)。しかしながらこの報告では癌患者と健常ボランティアを比べた結果であり、それらの中間にある前癌病変(白板症)や扁平苔癬といった粘膜疾患は含まれていない。白板症や扁平苔癬においてもテロメラーゼ活性が認められるとの過去の報告より、電気化学テロメラーゼ活性測定法においても検出可能であると予測された。本研究の目的は、臨床的によく遭遇する口腔粘膜疾患(白板症や扁平苔癬)を簡便かつ客観的に診断するために、テロメラーゼ活性を指標とした電気化学診断システムを構築することである。 本年度は電気化学テロメラーゼ活性測定法を用いて、採取したサンプル(癌患者、白板症・扁平苔癬患者、健常者の生検組織およびブラシにより粘膜をぬぐい採取した剥離細胞)の違いによる電流増加率について調べた。電流増加率は健常者が一番低く、次いで白板症・扁平苔癬患者、口腔癌患者の順に高値を示した。ROC解析を基に電気化学テロメラーゼ活性測定法における口腔癌のcut off値を18%に設定したところ剥離細胞、組織の感度はそれぞれ81.0%、83.3%、特異度は86.7%、95.8%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テロメラーゼ活性を指標とした電気化学診断システムを用いて癌患者、白板症・扁平苔癬患者、健常者の電流増加率を測定したところ、白板症・扁平苔癬患者でもテロメラーゼ活性が認められ、その電流増加率は健常者より高く、口腔癌患者よりも低いことがわかり、概ね研究前の我々の予測通りの結果であった。
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今後の研究の推進方策 |
健常者・粘膜疾患(白板症・扁平苔癬)・口腔癌の3者を診断できるシステムの構築を目指していたが,粘膜疾患の様相は多種多様であり,健常に近いものから限りなく癌に近いものまで幅広いサンプルが含まれるため3者の鑑別は困難である可能性が出てきた。次年度は電流増加率とhTERTの相関について検索を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に新しい電気化学的診断装置(装置のコンパクト化と測定の効率化)を購入予定であったが、装置は現在改良途中であるため今年度は購入することができなかった。 新しい電気化学的診断装置が完成すれば次年度購入予定である。また研究結果をまとめ外国語論文を投稿する予定である。
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