研究課題/領域番号 |
25861973
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
浜田 智弘 奥羽大学, 歯学部, 講師 (70382778)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医科歯科連携 / パーキンソン氏病 / 顎運動 |
研究概要 |
パーキンソン氏病患者の顎運動を高速ビデオカメラで撮像し、オフラインで専用プログラムを用いて顎運動の解析を行った。被験者は埼玉医科大学神経内科・脳卒中内科で加療中のパーキンソン氏病患者患者で著しい咬合喪失、ジスキネジア、精神疾患を伴わない患者とした。また対照としては年齢層が一致する咬合喪失のない健常者を選択した。参加者の頬骨弓前部ならびに頤部にカラーラベルを貼付し、試料咀嚼時の運動を高速ビデオカメラ(300 fps)にて撮影しオフライン解析した。その結果、PD患者の咀嚼運動では過去の報告と同様に開口-閉口-咬合で構成される咀嚼サイクルの速度緩徐化と下顎移動量の減少に加えて、咀嚼サイクル間のインターバルの延長が認められた。また、治療観察中に運動障害が増悪した患者では、対照に比し咀嚼サイクル速度(89.1±2.4%)と下顎移動量(開口相:90.0±3.7%、閉口相:85.3±4.6%、咬合相:87.6±4.6%)の減少と、咀嚼インターバル(162.8±8.1%)の延長を認めた。治療薬物の増量により歩行、姿勢などの改善とともに下顎移動量(開口相:133.5±5.5%、閉口相:123.7±7.7%、咬合相:125.5±5.5%)は増加したが、咀嚼運動速度(77.9±3.7%)と咀嚼インターバル(193.2±19.7%)に顕著な改善は認められなかった(いずれも耐性発現前との比較)。 以上のことから、咀嚼運動はパーキンソン病態を反映しており、定量的に解析することでその病態把握に有効であることが示唆された。 この結果の一部は埼玉パーキンソン病治療研究会において発表し、歯科医と神経内科医の連携等について多くの建設的な意見をいただくことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パーキンソン氏病モデルサルにおける顎運動解析 (Adachi et al., Disruption of programmed masticatory movements in unilateral MPTP-treated monkeys as a model of jaw movement abnormality in Parkinson's disease. J Neural Transm, 2012)と同様に記録を行なったが、高齢者の皮膚上に設定したマーカーは、下顎骨の動きと正確に連動しなかった(下顎骨は動いても皮膚はほとんど動かない)。そのため現在マーカーの位置や測定項目について試行錯誤している。
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今後の研究の推進方策 |
顎運動解析のn数を増やす。 咀嚼筋について筋電図データを取り、筋電学的に咀嚼側偏重の有無等を明らかにする。 四肢の運動についても同様の解析を行い、顎運動との関連を明らかにする。 国際学会および国際誌に発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
パーキンソン氏病モデルサルにおける顎運動解析 (Adachi et al., Disruption of programmed masticatory movements in unilateral MPTP-treated monkeys as a model of jaw movement abnormality in Parkinson's disease. J Neural Transm, 2012)と同様に記録を行なったが、高齢者の皮膚上に設定したマーカーは、下顎骨の動きと正確に連動しなかった(下顎骨は動いても皮膚はほとんど動かない)。そのためマーカーの位置や測定項目、測定方法を修正中であり、計画に若干の遅れが生じている。 咀嚼筋の筋電図解析を追加し、顎運動の偏在を明らかにする。 そのため解析ソフト、電極等を購入する必要がある。
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