研究実績の概要 |
本年度は、臨床検体にCD163およびCD68の免疫組織化学染色を用いた、口腔扁平樹皮癌における腫瘍関連マクロファージ(CD163陽性マクロファージ)の局在性および臨床病理学的因子および予後との関連を検証した。200倍視野下で腫瘍最浸潤部のホットスポットにおける以下の項目について、測定を行った。3視野の測定値を平均化し解析を行った。 CD163陽性マクロファージ発現は、腫瘍間質発現平均値は19.4 (46.3~519.3,SD: ±111.2)で任意単位面積あたりの平均発現個数は20.1個(4.4~45.9, SD: ±9.3)であった。また、腫瘍包巣内でのCD163マクロファージ発現は、任意の単位面積発現個数で平均11.5個(0.2-35.3, SD:±8.2)であった。CD68陽性マクロファージの腫瘍間質の発現平均値は183.6個 (14.3~419,SD: ±80.1)で、任意の単位面積発現個数は15.6個(1.3~41, SD: ±7.2)であったCD163/CD68は、平均1.4 (0.5~7.4, SD: ±1.0)であった。 T分類(1,2 vs 3,4)、リンパ節転移(なしvsあり)、予後(良好vs不良)における発現値をsudent-T検定で検討したところ、CD163マクロファージ腫瘍間質発現では、有意にT進行例、リンパ節転移例、予後不良例で高値を示した。CD163マクロファージ腫瘍内発現では、リンパ節転移例、予後不良例で有意に高値であった。CD163/CD68では、T進行例、予後不良例で有意に高値を示した。臨床病理学的因子との関連性についてχ二乗検定を用いて検討したところ、CD163腫瘍間質発現で、T進行例、ステージ進行例、リンパ節転移例に有意な関連性を認めた。また、CD163/CD68にT進行例、ステージ進行例と有意な関連性を認めた。
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