本年度は、口腔扁平上皮癌微小環境におけるM2マクロファージ発現と癌細胞におけるCOX-2発現およびVEGF-C発現の関連性等について検証した。腫瘍最浸潤部の任意単位面積あたりの腫瘍間質における、CD163陽性マクロファージ発現数と腫瘍細胞におけるCOX-2およびVEGF-C発現において、統計学的な有意差は認めなかったものの、CD163陽性マクロファージ強発現群おいて両者の発現率が高い傾向にあった。リンパ節転移との関連性においては、CD163陽性マクロファージ強発現群、VEGF-C強発現群、COX-2強発現群のそれぞれで統計学的有意に関連性を認めた。また、CD163陽性マクロファージ強発現と腫瘍周囲リンパ管数にも傾向差を認めたことから、これらが密接に作用してリンパ管新生を誘導し、口腔扁平上皮癌のリンパ節転移を促進している可能性が示唆された。
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