研究課題/領域番号 |
25861987
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
讃岐 拓郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40533881)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科治療 / 口腔外科手術 / 気道確保 / 声門上器具 |
研究実績の概要 |
歯科・口腔外科手術は、開口や頭位の変換などを要するが、これらの操作は喉頭部の解剖学的変化を生じる。全身麻酔の気道確保に使用される声門上器具の遠位端は喉頭に位置するため、歯科・口腔外科手術中のこれらの操作は、声門上器具の機能ならびに性能に影響を与える可能性がある。 声門上器具の1つであるLMAの2年間の使用成績を解析した91年のYoungの報告(Young TM. Eur J Anaesthesiol Suppl.1991;4:53-9)では、全身麻酔の換気困難の発生率は、歯科症例と医科症例とで比較すると、医科症例は13.5%であるのに対し、歯科症例は19.2%と、その発生率が有意に高いことが報告されている。しかしながら、この2年間の換気困難の発生率をさらに、臨床使用1年目、2年目で分けて比較してみると、医科症例では1年目、2年目とも6.8%であるのに対し、歯科症例は1年目に13.1%であったものが、2年目には6.2%まで低下し、医科症例と同程度になることが報告いる。すなわち、Youngの報告からは、歯科・口腔外科手術におけるLMA、声門上器具の使用に際しては、医科症例の標準的な使用方法とは異なる特別な配慮が必要であり、経験を積むことで得られる知識やテクニックの習得により、「安全に使用できる」ということが読み取れる。 経験を積むことで得られる知識やテクニック、歯科口腔外科手術における使用上の問題点を明らかにするために声門上器具の種類が豊富な米国歯科麻酔科医を対象としたサーベイ調査を行い、歯科口腔外科手術における声門上器具の安全な使用方法を確立することを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サーベイ調査の結果の解析もほぼ終了し、その概略は国際学会(2015年度)において発表しているため、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
歯科領域だけでなく、医科領域における声門上器具の使用方法の最新の知見を各種学会に参加することで広く収集し、本年度中の国際誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度中に渡米し、ピッツバーグ大学Paul Moore教授にデータ解析ならびに論文作成の指導を受ける予定であったが、諸事情により延期したため、次年度使用額が生じたと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度中に渡米し、ピッツバーグ大学Paul Moore教授にデータ解析ならびに論文作成の指導を受ける予定であるため、その旅費とする。また、最新の知見収集と論文作成に使用する。
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