頭頚部扁平上皮癌437症例のFFPE検体を用い、SIRT1発現を免疫組織学的に評価した。その結果、SIRT1の発現は79.6%の症例においてみられ、独立した予後良好因子であった。一方、胃腺癌557症例を対象とした同様の検討では、逆に予後不良因子であった。そこで、口腔扁平上皮癌由来の培養細胞株を用い、SIRT1の発現をRNA干渉法により抑制し、上皮細胞の分化、およびstemness維持に関する遺伝子の発現の変動を検討した。結果、SIRT1の発現を抑制することにより、TAp63の発現が低下することを見出した。SIRT1はp63を介した機序により癌の悪性度に寄与している可能性が示唆された。
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