舌突出癖を伴う、上下顎骨の前後的・垂直的位置関係の不調和が著しい不正咬合においては、矯正歯科治療単独での咬合の改善や顔貌の調和を図ることが困難である。このような場合に併用される筋機能療法のエビデンスには不明な点が多い。そこで、申請者は、「舌突出癖患者における舌挙上訓練に伴う舌圧、口唇圧、咀嚼筋活動および舌運動の経時的変化における相互関連を探り、顎態および歯列に与える影響を解明する」ことを本研究の具体的な目的として研究を行った。 本研究では、[1] 申請者らが先行研究で使用した装置を改良して、訓練時に口蓋部および上顎前歯部における舌圧分布を超小型圧センサを用いて測定することが可能な装置の実用化を図る。[2]次に、[1]で開発した装置を用いたデータ採得中に、上顎前歯部口唇圧および咀嚼筋筋活動を同時計測を可能な環境を整える。その装置を用いて、[3]健常者群(対照群)、舌突出癖患者群(実験群)の2群をそれぞれ2グループに分け、2種類の異なる舌挙上訓練課題(低負荷・長時間課題および高負荷・短時間課題)を行い、その効果に関する機能的評価を行うとともに、顎態および歯列の形態計測による形態的評価を行う。さらに、MRI動画法においても、同様の対照群、実験群においての舌の経時的位置変化の計測・解析を行う。この過程で、対照群と実験群を横断的比較するとともに、実験群において課題の持続効果を縦断的に比較する。 最終年度では、MRI動画法を用い健常者複数名および舌突出癖患者の経時的舌運動を計測、解析を行った。
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