研究課題/領域番号 |
25862005
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
丹原 惇 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (10636228)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 顎矯正手術 / 有限要素法 / 術後安定性 |
研究概要 |
顎矯正手術が適用される顎変形症例に対し、術後に予想される下顎骨内応力の変化を考慮した治療体系を確立することである。すなわち、顎変形症例の術前の顎顔面形態をもとに、顎矯正手術によって変化する咀嚼筋の作用に伴う下顎骨内応力を有限要素法により解析し、術後に生じた実際の変化と比較検討することで、術後変化を規定する生体力学的要因を検索する。 具体的な本年度の研究実施計画は、対象症例(主に下顎後退術が施行された骨格性下顎前突症例)の初診時CTを用いて上下顎の術前三次元予測画像モデルを作成することであった。解析を行う選択症例については顎矯正手術の前に生体等価性を検討するために咬合圧計(当科所蔵)を用いて咬合力検査を行う必要があるため、現在、咬合力テストを行って顎矯正手術を施行予定の症例のCTデータを集めている段階である。選定症例のCTデータが得られ次第、次年度初頭から三次元画像モデルの作製を開始する事ができる。また、症例の選定を進めると同時に、本年度は実際の有限要素解析を行う際に必要な物性値の予備解析を行った。本研究の対象とする顎顔面領域には硬組織と軟組織が存在しており、このうち軟組織に関する物性値は結果として得られる顎骨内応力分布以外にも、特に変位量に大きく影響するため、慎重にそのパラメータを設定する事が必要である。特に、歯根膜の物性値に関しては、術後の咬合状態のシミュレートにも大きく関与する事から、実際に歯-歯根膜-歯槽骨モデルを作製し、有限要素解析を行った。その結果、本研究で予定している静解析においては歯根膜を線形材料として扱い、Young's modules 0.13MPa、Poisson's ratio 0.45という物性値を適用することで、妥当な生体等価性が得られた。このパラメータを次年度以降の本解析にも適用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に行う予定であった内容は、症例の選定と三次元画像モデルの作製であった。対象症例の選択は咬合力テストを含めて現在も進行中であるが、CTデータから三次元画像モデルの作製を開始するには至らなかった。ただ、有限要素法による解析を確実に進めていくには、設定する物性値の検討を慎重に行うことや、予備解析で結果をある程度予測することが重要であるので、本年度は本解析で用いる予定の物性値の検討を行った事から、研究全体を通してみると遅延が発生しているとは考えておらず、次年度以降はスムーズに研究の遂行が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、選定した対象症例のCTデータから三次元画像モデルを作製し、実際の本解析を進める予定である。本年度の予備解析で有限要素解析ソフトの使用方法についてもさらに習熟することができたため、次年度の間に本解析を完了する事が可能であると考えている。また、対象症例をさらに広げて解析データを蓄積する必要があるため、本解析を進めると同時に、症例選定の基準を広げて咬合力テストならびにCTデータの収集を継続して行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度には本解析を行わず、予備解析を行い、かつその予備解析についてはソフトウェアベンダーの提供するトライアル期間で解析を完了できたため、実質的な解析料の計上が不要であったため。 次年度以降は、本格的な解析を開始するため、研究計画書に記載した通り、ソフトウェアのレンタ料が発生するため、その費用に充てる予定である。
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