研究課題/領域番号 |
25862009
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平田 佳永 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00638596)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 脂肪細胞分化 / 生活習慣病 / 生理活性物質 / miRNA / 歯科矯正学 / 歯科薬理学 |
研究概要 |
脂質は三大栄養素の一つであり、細胞膜の主要成分として生体を構成し、生命の維持に必須の物質である。また、脂質はシグナル分子としての役割を持ち、ステロイドホルモンや局所メディエーターとして生体の恒常性維持に深く関与する。すなわち、脂質の動態を明らかにすることは、生命現象の仕組みを解き明かすことである。本研究では、脂肪細胞の分化・成熟過程を明らかにすることにより、将来的にメタボリックシンドロームの病態解明や軟組織パラダイムに基づいた矯正歯科治療に応用することを目的とする。 平成25年度は、マウス3T3-L1前駆脂肪細胞を用いて、局所の炎症性脂質メディエーターであるロイコトリエンと前駆脂肪細胞の分化・成熟との関連を明らかにした。3T3-L1前駆脂肪細胞分化の過程でロイコトリエンB4(LTB4)経路を阻害したところ、成熟脂肪細胞への分化が阻害された。LTB4のGタンパク質共役型受容体であるBLT1、BLT2の発現を特異的に抑制するsiRNAを作成し、3T3-L1前駆脂肪細胞にトランスフェクションしてBLT1、BLT2の発現を抑制したところ、成熟脂肪細胞への分化が阻害された。3T3-L1前駆脂肪細胞に双方のsiRNAを用いてBLT1, BLT2の発現を同時に抑制したところ、それぞれを単独で抑制した場合と比較し、成熟脂肪細胞への分化が著しく抑制された。 これらの結果から、LTB4-BLTシグナル伝達経路がマウス3T3-L1前駆脂肪細胞の分化に関与すること、およびBLTのノックダウンが前駆脂肪細胞の分化に抑制的に作用することを明らかにした。得られた成果について論文執筆を完了し、Lipids health Dis 12:122, 2013に掲載が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、3T3-L1前駆脂肪細胞を用いて脂肪細胞分化・成熟とロイコトリエンB4の関連についておおむね順調に実験を進めることができた。これらの実験結果をまとめて考察後、論文執筆を完了し、その論文はLipids Health Dis 12:122,2013への掲載が認められた。 現在、microRNAと脂肪細胞分化・成熟との関連についての実験を進めているが、これについては第87回薬理学会年会にてこれまでに得られた成果を発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は3T3-L1前駆脂肪細胞やヒト前駆脂肪細胞を用いて、microRNAと前駆脂肪細胞の分化・成熟との関連についてさらに実験を進める予定である。具体的には、ターゲットmicroRNAのsiRNAを作製して前駆脂肪細胞にトランスフェクションし、脂肪細胞分化・成熟への影響を検討する。これらの実験を進捗させ、得られたすべてのデータの解析、妥当性の検討を行い、本研究の成果を国内外の学会に発表するとともに、国際的な学術雑誌に投稿する。
|