研究課題/領域番号 |
25862011
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
道上 郁美 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80589771)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SNAREタンパク質 / エナメル芽細胞 / 石灰化 / 小胞輸送 |
研究概要 |
小児歯科領域では歯の形成異常を主訴とする患者も多い。そのなかには明白な家族歴や基礎疾患等がないにもかかわらず、う蝕の急速な進行や著しい咬耗、歯の破折を示す患者がいる。このような臨床的背景から、単に基質タンパク質の質的または量的な異常ではない、いまだ明らかにされていない石灰化異常の原因があるのではないかと考えた。さらに、基質タンパク質についても、細胞表面や細胞外、細胞内でゴルジ体、エンドソーム、リソソームに輸送される際、まず小胞体に輸送される。細胞内のタンパク質の細胞内小器官の間の移動は、輸送小胞によって行われる。このため、小胞輸送および分泌が、歯質の石灰化の状態に影響するのではないかと考えた。 そこで、本研究において着目したのがSNARE(Soluble NSF Attachment protein Receptor)タンパク質である。SNAREタンパク質は、小胞輸送において小胞がターゲットとなる膜に特異的に融合する機構に関与するタンパク質として知られている。 本研究では、in vitro実験に先行し、歯と同様に硬組織である骨芽細胞の株化細胞であるMC3T3の定量RT-PCR、初代骨芽細胞におけるマイクロアレイ、さらに、オンラインデータベースにおいても、Snap23が骨において有意に発現していることを確認したため、in situ hybridization法により歯での発現を確認したところ、エナメル芽細胞において発現がみられたため、まずはエナメル芽細胞をターゲットとすることにした。そこで、エナメル芽細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスを作製し、現在、同マウスの表現型解析を進めており、それにより歯質の石灰化における小胞の輸送メカニズムの解明を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroについては、歯原性上皮細胞ならびに歯原性間葉細胞の分離はできたものの、まだ安定した培養条件を定めるため試行錯誤の状態であるが、歯、特にエナメル芽細胞においてSNAREタンパク質であるSnap23が発現することをin situ hybridization法 により確認できた。その結果をもとにまずはエナメル芽細胞特異的に発現するケラチン14-CreマウスならびにSnap23-floxマウスの作製は済んでおり、現在コンディショナルノックアウトマウスを得るため交配を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
石灰化における小胞輸送を本研究のテーマとしたため、当初は基質小胞により基質石灰化が生じる象牙質をターゲットとして想定していた。しかし、in vitroに先行し、歯と同様に硬組織である骨芽細胞の株化細胞であるMC3T3の定量RT-PCR、初代骨芽細胞におけるマイクロアレイでもさらに、オンラインデータベースにおいても、snap23が骨において有意に発現していることを確認したため、in situ hybridization法により確認したところエナメル芽細胞において発現がみられたため、まずはエナメル芽細胞をターゲットとすることにした。エナメル芽細胞の分離は可能であるため、培養条件を検討し、in vitroにおけるノックダウン実験などを行う予定にしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初初代細胞の分離がスムーズに進まず、in vitroでの実験がずれ込んだため。 初代細胞の分離をすすめ、遺伝子導入実験、遺伝子発現解析等を行う
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