研究課題/領域番号 |
25862012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三原 聖美 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00551920)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯科矯正学 / アンカースクリュー |
研究実績の概要 |
矯正歯科治療の主たる目的の1つに歯を移動することが挙げられる。移動中の歯の周囲組織では初期反応として炎症反応が起こり、引き続き骨吸収、骨添加(骨代謝)が起こる。しかし、現在これらの動態を分子生物学的に把握し、予後を判定するような検査方法は確立されていない。患者への侵襲の少ない方法として、ペーパーストリップスを用いて、ヒト歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid 以下GCF)を採取し、炎症性メディエーターの動態を確認した報告はあるが、そこから骨代謝マーカーと関連づけた報告は少なく、さらに歯科矯正用アンカースクリューについて、炎症ならびに骨代謝マーカーの変動を確認している報告はほとんどない。歯科矯正用アンカースクリューは最近矯正歯科治療の補助として用いられる頻度が高くなってきているが、治療開始前に歯科矯正用アンカースクリューならびにそのスクリューを埋入する歯槽骨の予後を把握することが困難な状態である。そのため、埋入した後にスクリューの動揺や脱落が起こり、治療に支障が出ることがある。今後、事前にスクリューの予後が把握できれば治療をスムーズに進めることができるようになると考えられる。本研究では、埋入した歯科矯正用アンカースクリューについて、健常側と脱落側の周囲の滲出液を採取し、炎症性および骨代謝マーカーについて解析を行う。昨年度に引き続き患者からサンプルを採取しており、一定数サンプル数を採取後に解析を行う予定である。 今後詳細な分析を行うことで、歯科矯正用アンカースクリューの脱落時の生態反応や脱落の要因を解明し、歯科矯正用アンカースクリューの予後について把握し、患者への利益に還元する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度、サンプル対象となる被験者のデータ収集を行ったが条件に合う被験者数を集めることが困難であったため、条件を変更した。サンプルを再度集めているが、現在目標数値まで到達しておらず、データ解析まで行えていない状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
収集した歯科矯正用アンカースクリューの周囲滲出液をすべてまとめて、ELISAを用いて分析し健常側と脱落側の炎症性メディエーターおよび骨代謝マーカーを比較することで、脱落が起こる前に歯科矯正用アンカースクリューの予後を把握することが可能か検討する。また、データ分析から有用な成果が得られるようであればジャーナルに報告し、協力を得た被験者(患者)および今後歯科矯正用アンカースクリューを使用する患者への利益還元につなげる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度、サンプル対象となる被験者のデータ収集を行ったが条件に合う被験者数を集めることが困難であったため、条件を変更した。サンプルを再度集めているが、現在目標数値まで到達しておらず、データ解析まで行えていない状況であり、データ解析にかかる試薬等のコストが残っている状態であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプル収集は進んでおり、今年度にはデータ収集が完了する。サンプルのデータ分析のためのELISA等の試薬および実験器具に使用する予定である。また、学会発表およびジャーナルへの投稿への資金とする予定である。
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