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2013 年度 実施状況報告書

Runxを使った口蓋裂の分子診断と分子治療への基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 25862014
研究種目

若手研究(B)

研究機関大阪大学

研究代表者

伊藤 慎将  大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40633706)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード口蓋裂 / 口蓋形成 / Runx / Cbfb
研究概要

口唇口蓋裂は種々の遺伝子異常が関与する最も頻度の高い先天異常の一つである。口蓋裂の原因は多岐に及ぶが、近年遺伝子改変動物を利用した研究の発展から、飛躍的に口蓋裂発症に関わる遺伝子が報告されており、徐々に細かい分子病態の解明に迫りつつある。しかし、それぞれの因子を繋ぐ分子機構は依然として未解明の部分も多い。本研究では、各因子の集約点となる分子の候補として、Runx関連遺伝子の口蓋裂発症への関与を解析する。
まずはじめに、上皮特異的Cbfbホモ変異マウスを用いて解析を行った。口蓋組織の遺伝子発現解析を行う前に、出生直後の同変異マウスおよび野生型マウスの下顎切歯サービカルループ部からマイクロダイセクション法によりRNAを回収し、マイクロアレイ解析を行った。理由は、既に同変異マウスの歯牙発生について申請者のグループでは第一報が報告されており、新規シグナル分子解明への近道としてサービカルループ内で変動がみられる分子であたりをつけるためと、単純に組織の回収がサービカルループの方が容易であったことも挙げられる。そして口蓋癒合時の目的組織が非常に僅かな領域に限定され、網羅的な解析を行うのに十分な量のRNA回収が行えなかった場合に備えた。
その結果、新規シグナル分子としていくつかの候補が得られている。その候補である物質の口蓋形成時の発現を裏付ける為に、口蓋癒合時期である胎生14.5日齢のマウス口蓋の組織染色を行った。引き続いてCbfbホモ変異マウスの胎児を利用した口蓋の解析へ移行する。
Runx1ホモ変異マウスについてはまだ解析に至っていない。現在コロニー確立の最終段階まで達している所であり、これについては想定していたよりも時間を要した。次年度には最終の交配を順次行い、上記で新規に得られた分子も参考にしながらRunx1ホモ変異マウスの口蓋形成におけるシグナル分子の解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上皮特異的Runx1ホモ変異マウス作成のために、数種類のコロニーを作成・維持する必要があったが、理論上メンデルの法則に則った確立で産まれるはずであった目的の遺伝子型をもつ仔マウスが産まれなかったことや、母マウスによる想定外の仔の捕食などにより、当初の予定よりもコロニーの確立に余分に期間を要する結果となった。しかし現在は最終段階まで到達しており、目的マウスが産まれ次第、順次解析を行う予定である。

今後の研究の推進方策

Runx1ホモ変異マウスおよびCbfbホモ変異マウスの口蓋から目的の組織をマイクロダイセクション法により回収し、mRNAを回収する。サービカルループのマイクロアレイから候補として挙げられた分子についてRT-PCRにて発現確認を行う。mRNAの回収が十分量確保できれば、マイクロアレイ解析も行う。同定された発現分子の免疫染色あるいはin situ hybridizationを行い組織上で発現の確認を行う。
また野生型マウスの癒合直前の口蓋を摘出して器官培養を行い、新規同定分子のインヒビターを添加して口蓋裂発症の再現を行う。逆に同じステージのホモ変異マウスの口蓋に新規同定シグナル分子を添加することで、口蓋裂が発症することなく、正常に癒合することを確認する。

次年度の研究費の使用計画

年度末に購入予定であった消耗品があったが、国内在庫が確保できず海外から輸送される計画になっていた。納期が間に合う予定であったが、手続き上の連絡の不行き届きにより、期限に間に合わない事態となったため。
年度末に購入予定であった消耗品を購入する計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Cartilage-specific over-expression of CCN family member 2/connective tissue growth factor (CCN2/CTGF) stimulates insulin-like growth factor expression and bone growth.2013

    • 著者名/発表者名
      Nao Tomita, Takako Hattori, Shinsuke Itoh, Eriko Aoyama, Mayumi Yao, Takashi Yamashiro, Masaharu Takigawa
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0059226

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CCN Family Member 2/Connective Tissue Growth Factor (CCN2/CTGF) Has Anti-Aging Effects That Protect Articular Cartilage from Age-Related Degenerative Changes2013

    • 著者名/発表者名
      Shinsuke Itoh, Takako Hattori, Nao Tomita, Eriko Aoyama, Yasutaka Yutani, Takashi Yamashiro, Masaharu Takigawa
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0071156

    • 査読あり
  • [学会発表] 長期的成長ホルモン療法を受けた軟骨低形成症患者の頭蓋顔面の成長を追った1治験例2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 慎将、菅原 康代、上岡 寛、山城 隆
    • 学会等名
      第72回 日本矯正歯科学会
    • 発表場所
      松本
    • 年月日
      20131007-20131009
  • [学会発表] Runx/Cbfbシグナリングはアンドロゲン代謝を介した唾液腺の雌雄二形性発現を制御する2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 慎将、柳田 剛志、山城 隆
    • 学会等名
      第55回 歯科基礎医学会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20130920-20130922
  • [学会発表] ラーセン症候群の1例-顎顔面形態の特徴と早期治療-2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤慎将、上岡寛、本城正、山城隆
    • 学会等名
      第56回 中四国矯正歯科学会
    • 発表場所
      倉敷
    • 年月日
      20130702-20130703

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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