不正咬合は顎口腔機能障害を引き起こすだけではなく、肩凝り、頭痛などの全身的症状を訴える患者が少なくない。また、これらの患者に対し、矯正治療を行い、咬合改善を図ることで、全身的症状が改善されることも臨床上しばしば見られる。しかし、不正咬合がこれらの全身的症状の原因となっているか否かは定かではなく、両者の因果関係を確かめる診断法も確立されていない。 そこで、実験用スプリントを用いて、人為的に不正咬合を作成し、クレンチングを行わせ、不正咬合によるストレス状態を惹起させた後、機能的磁気共鳴画像法を用いて大脳辺縁系を中心とした高次脳の変化を解析するとともに、このストレス状態下における種々の変化を及ぼすチューイングの影響を同様の手法を用いて解析した。さらに、これらの解析結果を元に、顎口腔領域以外の部位に種々の症状を訴える咬合異常を伴う口腔機能障害患者において機能的磁気共鳴画像解析を行い、上述の解析結果と比較検討した。 その結果、不正咬合と機能的磁気共鳴画像法における高次脳の変化との間に関連は認められなかった。
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