研究課題/領域番号 |
25862024
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森田 幸子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究支援員 (00631574)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯根吸収 / 歯の移動 / フラボノイド |
研究概要 |
矯正治療時の歯根吸収には、いまだ適切な予防法がない。短根歯を有する成人および若年患者において、更なる歯根吸収へのリスクから治療を諦めるケースもある。よって矯正治療時の重篤な副作用の一つである歯根吸収の予防法の確立は、従来の矯正治療を大きく前進させる。 フラボノイドは天然植物由来の有機化合物で、近年、抗酸化作用や抗炎症作用など、その多彩な作用が注目されてきた。これまでに炎症性メディエーターの抑制効果や腫瘍細胞の増殖抑制効果、また卵巣摘出マウスでの骨量減少抑制など骨代謝への影響も報告されている。これらの報告から、フラボノイドは炎症性の歯根吸収に対しても抑制的に働くことが期待され、また骨代謝を促進するという報告から歯の移動に対する影響も予測される。本研究では、フラボノイドの持つ抗炎症作用および骨代謝への影響に着目し、薬剤を用いない歯根吸収予防法の確立を最終目標とし、至適矯正力を考慮に入れた歯根吸収予防について検討する。 これまで各種フラボノイドを、矯正力を加えた歯の移動モデルマウスに投与し、歯の移動への影響を調べた。マウスの上顎切歯部歯槽骨と左側第一臼歯間にのクローズドコイルスプリングを装着し、各群に分けて歯の移動開始時に左側第一大臼歯頬側皮下に 1)シアニジン; 2)ペラルゴニジン; 3)フラボン; 4)ルチン; 5)イソフラボン 計5種のフラボノイドを注射した。12日後にμCTおよび走査型レーザー顕微鏡にて、第一臼歯と第二臼歯間距離と歯根吸収量を計測した。これまで、対照群と比較して歯の移動量および歯根吸収量に有意な差が認められるフラボノイドは確認できていない。しかし至適量が未だ不明であり、今後はまず至適投与量について、また同時に他種のフラボノイドについても検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、各種フラボノイドを歯の移動モデルマウスに投与し、歯根吸収抑制効果のあるフラボノイドを同定することを目標として実験を遂行してきたが、歯の移動量および歯根吸収量に対照群と比較して有意な差が認められるフラボノイドを未だ確認できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、これまで投与してきた各種フラボノイドについて、至適投与量を更に検証し、また同時に他種のフラボノイドについても検討を行う。同定できた後は、歯の移動と歯根吸収に対するフラボノイドの影響を組織学的・細胞生物学的に検討する。またマウスの歯の移動モデルを用いて、矯正力荷重条件とフラボノイド投与量の条件を設定し、フラボノイドの投与量と歯の移動量、歯根吸収量を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度のin vivoの研究において、各種フラボノイドの歯の移動および歯根吸収への影響を確認するため同様の実験を繰り返しており、影響のあるフラボノイドを同定できた後に予定していた組織学的・細胞生物学的検証まで至らなかったため。 平成26年度は、歯の移動および歯根吸収への影響のあるフラボノイドを同定した後,その影響を組織学的・細胞生物学的に検討する。またマウスの歯の移動モデルを用いて、矯正力荷重条件とフラボノイド投与量の条件を設定し、フラボノイドの投与量と歯の移動量、歯根吸収量を検証するため、試薬・抗体類購入、実験動物購入・飼育費、調査発表旅費、その他として使用予定である。
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