研究課題
成人と小児に3分間歯磨きをしてもらうと、磨き残しに大きな違いがある。この違いは身体運動能力の発達や手技の上達度が影響していると考えられる。そこで、健常な成人と学齢期小児を対象に、歯磨き動作の三次元運動計測と定量評価を行い、成人と小児の運動能力の違いを解明する。小児の歯磨き動作を解明するためには、成熟した歯磨き動作の基準として成人の動作を明確にする必要がある。そこで、初めに成人の歯磨き動作について解析した。モーションキャプチャシステムを用い,歯科衛生士が上顎左右臼歯部を刷掃する際の歯ブラシと上肢の動きを記録した。得られた数値の時系列変化量から歯ブラシの往復運動と、肩部,肘部と手首部の関節の角度変化を算出して解析し、以下の結論を得た。歯ブラシの動きは、上顎右側臼歯部の刷掃時周波数が左側より低く,また,動きが不安定な傾向があったものの,左右とも個体内変動が小さいことから,個人の固有運動リズムが存在することが明らかになった。すべての部位の刷掃において,肘部は細かい運動の調節ではなく,安定した運動を営むことで,固有の運動リズムの発生に関与している可能性が示された。さらに、刷掃動作時,各関節は協調しながら細かな運動調節を行っており,上顎右側臼歯部刷掃時は肩部と手首部が,左側では手首部が,その調節を担っている可能性が示唆された。以上より,刷掃動作は上肢の各部位の協調運動と固有運動リズムの発生により,両側それぞれに特徴を持って営まれることが明らかになった。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件)
Clinical Oral Investigation
巻: 19 ページ: 1451-1462
10.1007/s00784-014-1367-2.
小児歯科学雑誌
巻: 53 ページ: 383-389