研究課題/領域番号 |
25862031
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
市川 雄大 昭和大学, 歯学部, 助教 (30635058)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 下顎頭軟骨 |
研究概要 |
下顎頭軟骨は神経堤細胞から発生し、四肢の関節における軟骨とは発生由来が異なり高い適応能力があると云われている。また、我々は、顎顔面領域の下顎頭軟骨が他の軟骨と遺伝子発現プロファイルが異なり、血管侵入抑制因子であり変形性関節症と関連性が高いChM-1の発現が下顎頭軟骨においては欠落していることを報告した[BONE, 42(6):1053-60, 2008]。一方、下顎頭軟骨に関しては、十分な理解がないままに様々な治療法(顎関節症の治療や機能的矯正装置)が行われ、その効果に関しても未だ不明な点が多い。そこで、本研究では、発生由来の観点から下顎頭軟骨を再考し、より深く理解し新しい顎位置の考え方や機能的顎矯正装置の開発ならびに使用方法に向けた基礎的研究を行う事とした。 [研究期間内に明らかにすること]Step1:DNAchip、Real time-PCRを用いて網羅的に全遺伝子発現のプロファイル分析から下顎頭軟骨の特異的な特徴を明らかにする。Step2:In vitroにて軟骨細胞の培養を行い、長管骨成長軟骨と比較することで下顎頭軟骨の増殖能・多分化能の機能的評価を行う。Step3:In vivoにて軟骨移植実験を行い、長管骨成長軟骨と比較することで下顎頭軟骨の再生能の評価を行う。 [本研究の予測される結果と意義]本研究によって、下顎頭軟骨が成体においても神経堤細胞の特徴を強く持ち、高い修復再生能と多分化能を持っている事が明らかになれば、下顎頭軟骨に対する古くからの臨床的疑問点の多くが解決されると期待される。さらには、下顎頭軟骨の高い再生力と多分化能を応用した新たな口腔領域特異的な再生療法の開発につながると期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の通り研究計画通りに概ね遂行出来ている。 本年度は、3週齢マウスの下顎頭軟骨および長管骨成長軟骨における遺伝子発現量をReal time-PCR、タンパクの局在を免疫組織化学解析を用いて検討した。マーカーとしては、神経堤細胞Wnt-1、Nestin、神経系幹細胞に関連するSox10、Musashi-1の遺伝子について正確な遺伝子発現定量評価を行い。かつ、遺伝子発現の認められた因子に関しては、免疫染色で組織学的な検討も行う。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、下記の研究計画通り遂行する予定であったが、軟骨培養の前に、まずは移植実験を行う予定である。 ①軟骨培養を行い、In vitroにて増殖能・多分化能の評価を行う。 ②我々が考案した発生由来が考慮された移植実験モデル(詳細を後述(Fig.3))を用いて軟骨移植実験を行い、In vivoにて下顎頭軟骨と他の成長軟骨との機能的特徴の違いを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、海外学会発表予定であったが、次年度に持ち越した為。 次年度に海外学会発表をした際に生じる経費に使用する計画である。
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