• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

歯小嚢特異的発現遺伝子F-spondinの機能解析による歯周組織再生療法への展望

研究課題

研究課題/領域番号 25862032
研究機関東京歯科大学

研究代表者

本間 宏実  東京歯科大学, 歯学部, 助教 (80637760)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード歯根膜 / 細胞外マトリックス
研究実績の概要

本研究では,歯根膜細胞への分化能を有する初代培養歯原性間葉系細胞 (DMC)を実験に供し,歯胚形成において帽状期,鐘状期の限られた期間に発現が認められる歯小嚢特異的発現遺伝子F-spondinの効果がTGF-βシグナルに関与しているものか否かを検討する目的で,TGF-βシグナルの伝達分子であるSmad3のリン酸化に対するF-spondinの効果を,蛍光細胞免疫染色により調べたところ,DMCにおけるTGF-β刺激はSmad2/3のリン酸化を著明に誘導すること,またその発現部位は核内に認められることが確認された.また,TGF-β誘導性Smadシグナル活性化に対するF-spondinの効果をウェスタンブロッティング法により検討した結果,F-spondinの過剰発現はTGF-βによって誘導されるSmad3のリン酸化を阻害することが明らかになった.
次に,TGF-βシグナルに対するF-spondinの転写レベルでの効果を未分化間葉系細胞株C3H10T1/2を用いて検討したところ,DMCと同様に,C3H10T1/2細胞においてもF-spondinの過剰発現はTGF-βによるSmad3のリン酸化を抑制した.また,Smad結合配列 (CAGA) を用いたレポーターアッセイを行ったところ,F-spondinはTGF-β刺激によるSmadシグナルの活性化を有意に阻害した.さらに,F-spondinはTGF-βⅠ型受容体ALK5の恒常的活性型変異受容体ALK5 T204D導入により誘導されるSmadシグナルの活性化に対しても抑制的に作用した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯根膜細胞への分化能を有する初代培養歯原性間葉系細胞 (DMC)を用いて,TGF-βによる歯根膜細胞分化誘導に対するF-spondinの効果を,TGF-βシグナルに対する転写レベルで検討したところ,F-spondinはTGF-β誘導性の歯根膜細胞分化に対して抑制的に作用することが明らかとなった.次に,TGF-βシグナルに対するF-spondinの転写レベルでの効果を検討したところ,DMCと同様に,C3H10T1/2細胞においてもF-spondinの過剰発現はTGF-βによるSmad3のリン酸化を抑制した.また,Smad結合配列 (CAGA) を用いたレポーターアッセイを行ったところ,F-spondinはTGF-β刺激によるSmadシグナルの活性化を有意に阻害した.さらに,F-spondinはTGF-βⅠ型受容体ALK5の恒常的活性型変異受容体ALK5 T204D導入により誘導されるSmadシグナルの活性化に対しても抑制的に作用することがわかっている.
現在,F-spondinの発現制御の検討を進めており,当初策定した研究計画書どおりおおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

現在,F-spondinの発現に影響を及ぼす因子を明らかにするために,DMCを用いて歯胚形成に関与するWnt3a,IhhおよびTGF-β1刺激を行い,F-spondinの発現の変化を検討したいと考えている.これまでの成果により,歯根膜細胞分化を負に制御することが明らかになりつつあるF-spondinの発現に影響を及ぼす因子を検討する予定である.歯胚形成に関与する因子は数多く知られているが,その中で特に注目されているWnt3a,Ihh, そしてTGF-βがF-spondin発現に及ぼす効果を検討し,F-spondinの発現制御機構の解析をさらに進めることにより,歯根膜,さらには歯根,そして最終的には歯やその歯周組織の形成の分子メカニズムの解明をめざしたいと考えている.

次年度使用額が生じた理由

平成26年度に,抗体作製したのち免疫染色を行う予定であったが,研究施設の移動により研究に遅れが生じたから.

次年度使用額の使用計画

F-spondinと結合する細胞膜タンパク質の同定と,その下流シグナル経路の解析を進めることにより,F-spondinによるTGF-βシグナル活性化抑制のメカニズム解明につながると考えている.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (7件)

  • [学会発表] Prevalence and characteristics of supernumerary teeth in Japanese children and the influences on permanent dentition.2015

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Homma, Miki Miyashima, Nobuko Nagai, Ayako Tashiro, Atsuo Sakurai, Seikou Shintani.
    • 学会等名
      The International Association of Paediatric Dentistry 2015
    • 発表場所
      Glasgow
    • 年月日
      2015-07-01 – 2015-07-04
  • [学会発表] Oral microbiome analysis in children with colored dental biofilms.2015

    • 著者名/発表者名
      Nobuko Nagai, Atsuo Sakurai, Hiromi Homma, Kimiko Tanaka, Seikou Shintani.
    • 学会等名
      The International Association of Paediatric Dentistry 2015
    • 発表場所
      Glasgow
    • 年月日
      2015-07-01 – 2015-07-04
  • [学会発表] Dental treatment and oral health care of an abused and neglected child over a lengthy period : A case report2014

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Homma, Atsuo Sakurai, Tomoko Yonekura, Seikou Shintani.
    • 学会等名
      Pediatric Dentistry Association of Asia 2014
    • 発表場所
      Singapore
    • 年月日
      2014-08-22 – 2014-08-24
  • [学会発表] Bacterial community of “mature” dental biofilm in children2014

    • 著者名/発表者名
      Nobuko Nagai, Atsuo Sakurai, Hiromi Homma, Kimiko Tanaka, Seikou Shintani.
    • 学会等名
      Pediatric Dentistry Association of Asia 2014
    • 発表場所
      Singapore
    • 年月日
      2014-08-22 – 2014-08-24
  • [学会発表] 小児の有色歯面プラークに含まれる細菌種と齲蝕経験歯数の相関2014

    • 著者名/発表者名
      永井 宜子, 桜井 敦朗, 本間 宏実, 田中 公子, 新谷 誠康
    • 学会等名
      第297回東京歯科大学学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-06-07
  • [学会発表] 当科通院患者における上顎正中過剰歯の発生率と永久歯列への影響度に関する検討2014

    • 著者名/発表者名
      宮島 美樹, 桜井 敦朗, 本間 宏実, 川上 響子, 永井 宜子, 田代 紋子, 大澤 枝里, 新居 由紀, 江木 勝彦, 中内 彩乃, 米倉 智子, 田中 公子, 熊澤 海道, 今井 裕樹, 辻野 啓一郎, 米津 卓郎, 新谷 誠康
    • 学会等名
      第52回日本小児歯科学会大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-05-16 – 2014-05-17
  • [学会発表] 小児の有する成熟歯面バイオフィルム構成細菌種の解析2014

    • 著者名/発表者名
      永井 宜子, 桜井 敦朗, 本間 宏実, 田中 公子, 新谷 誠康
    • 学会等名
      第52回日本小児歯科学会大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-05-16 – 2014-05-17

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi