研究課題
近年,口腔インプラント治療が著しく増加している。一方で,インプラント治療によるトラブルも急増しており,最も多いのが歯周病原細菌をはじめとする口腔細菌の感染症である。歯周病原細菌の感染によるインプラント周囲炎は,口腔インプラントの予後を左右する主な因子の一つである。これは,歯周病原細菌などの細菌がインプラントへ感染することにより,歯肉の発赤・腫脹・出血・排膿を認め,さらに進行すると骨吸収にいたる疾患である。骨吸収が重度に進行すると,インプラントを除去せざるを得ない状況にもなり得る。このインプラント周囲炎を予防するには,細菌学的検査値に基づいたインプラントを含む口腔内の感染管理が重要である。それを充実させるために,歯周病原細菌感染度の指標である歯周病原細菌に対する血中IgG抗体価検査に着目した。これまでに私が参加した研究から,主な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg)に対する血中IgG抗体価検査が歯周病重症度と有意に正の相関があり,その基準値(標準値)は1.68であることがわかった。そこで,インプラント治療の評価においても,このPgに対する血中IgG抗体価による細菌学的評価が有効ではないかと考えている。以上のことから,インプラント周囲炎予防に,インプラント施術前後における歯周病原細菌に対する血中IgG抗体価検査導入によるインプラント検査システムを確立し,エビデンスに基づいたインプラント治療のガイドラインを作成したいと考えている。そのために,インプラント施術前後における,歯周病原細菌に対する血中IgG抗体価を指標にした大規模な長期間追跡調査を予定している。本研究は,そのパイロットスタディとしてインプラント周囲炎の現状を調査し,歯周病原細菌に対する血中IgG抗体価検査がインプラント周囲炎の発症予知に有用であるかを検討することを目的としている。
3: やや遅れている
平成26年9月に岡山大学を退職し,10月から神奈川歯科大学へ着任した。従って、岡山大学では17サンプルの検体採取に留まった。また異動に伴い,岡山大学 臨床研究倫理委員会へ変更届を申請した。また,赴任先の神奈川歯科大学にて,臨床研究倫理委員会への申請に加えて,検体採取のための外来での準備をする必要があり,研究進行がやや遅れている。
研究計画の具体的内容に関する変更はない。研究費申請者の異動に伴い,岡山大学 臨床研究倫理委員会への変更届と神奈川歯科大学 臨床研究倫理委員会への申請は承認された。その後,神奈川歯科大学附属病院にて検体採取に向けての準備が整いつつあり,2015年5月から引き続き,同意を得られた対象患者に対して,①インプラント治療歴のある対象患者の患者情報および生活習慣に関する情報収集②インプラント治療歴のある対象患者の口腔内検査③歯周病原細菌に対する血漿IgG抗体価検査および歯周病原細菌量の唾液検査(定量PCR法)を実施して,対象患者数を増やす。さらに,収集した対象患者のデータを統計学的に解析し,その成果を学会および論文で報告する予定である。
平成26年9月に岡山大学を退職し、10月から神奈川歯科大学へ着任した。従って、岡山大学では17サンプルの検体採取に留まった。また異動に伴い,岡山大学 臨床研究倫理委員会へ変更届を申請した。また、赴任先の神奈川歯科大学での検体採取のための外来での準備をする必要があり、予定していた検体採取が延期となったことから当該助成金が発生した。
研究費申請者の異動に伴い,岡山大学 臨床研究倫理委員会への変更届と神奈川歯科大学 臨床研究倫理委員会への申請は承認された。その後,神奈川歯科大学附属病院にて検体採取に向けての準備が整いつつあり,2015年5月から引き続き,同意を得られた対象患者に対して,①インプラント治療歴のある対象患者の患者情報および生活習慣に関する情報収集②インプラント治療歴のある対象患者の口腔内検査③歯周病原細菌に対する血漿IgG抗体価検査および歯周病原細菌量の唾液検査(定量PCR法)を実施して,対象患者数を増やす。さらに,収集した対象患者のデータを統計学的に解析し,その成果を学会および論文で報告する予定である。従って,次年度使用額および翌年度研究費は、2015年5月から再開する検体に加えてデータ解析や学会および論文発表に使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
日本口腔検査学会誌
巻: 7
Odontology
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日本歯周病学会会誌
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