研究課題
若手研究(B)
申請者は本研究課題でRAと歯周炎の関連を分子レベルで明らかにしようとしている。そのために、歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis (Pg)由来PAD(PgPAD)によってシトルリン化された自己由来タンパク質が抗原となり、RAの発症にどのように影響していることをin vitro、in vivoおよび患者由来臨床サンプルを用いた実験を計画した。歯周炎では歯周病原細菌の感染によって惹起される種々の生体応答が引き起こされる。その結果、歯周炎患者では種々の歯周病原性細菌に対する血清IgG抗体価の上昇が認められる。また歯周炎が糖尿病や動脈硬化症へ影響することが分子レベルで明らかにされつつあり、歯周治療がRA症状を軽減させるとの報告もあることから、自己由来PADだけでなくPgPADによって生成したCPがRAの病態に影響していることが予想される。そこでin virtoではPgPADによって歯周組織由来サンプルでシトルリン化が起こり、シトルリン化タンパク質が検出されることをwestern blottingで確認した。また、in vivoではリウマチ自然発症マウスSKGマウスを使用して、リウマチ発症にPg感染がどのように影響するか検討し、PgがRA発症を加速させることが明らかとなった。動物実験では、自然発症RAマウスと比較して、Pg感染したものはRAスコア、血清中の抗CCP抗体、MMP-3。IL-2、MIP-1αの産生量が有為に高く、Pg感染が、シトルリン化タンパク質を多く生成していることと、免疫応答を活性化している可能性が示唆された。次年度は詳しいRA増悪メカニズムを検討していく。
2: おおむね順調に進展している
in virtoではPgPADによって歯周組織由来サンプルでシトルリン化が起こり、シトルリン化タンパク質が検出されることをwestern blottingで確認した。また、in vivoではリウマチ自然発症マウスSKGマウスを使用して、リウマチ発症にPg感染がどのように影響するか検討し、PgがRA発症を加速させることが明らかとなった。動物実験では、自然発症RAマウスと比較して、Pg感染したものはRAスコア、血清中の抗CCP抗体、MMP-3。IL-2、MIP-1αの産生量が有為に高く、Pg感染が、シトルリン化タンパク質を多く生成していることが突き止められており、順調に研究課題を遂行できている。
今後は、当初の予定通り、Pg感染がRAの発症、進行、症状の増悪化を引き起こすメカニズムを、各免疫担当細胞毎に焦点を当てて検討していくことで、歯周病治療がリウマチの発症、進行に寄与しており、歯周病治療がRAに良好な経過をもたらすことが明らかに出来ると予想される。
動物実験の個体数が予想数を下回ったため。in vivoでのメカニズム解析時に実験動物費用として計上予定。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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