研究実績の概要 |
歯周病と糖尿病は相互に関連し合う疾患であり、糖尿病による持続的な高血糖状態は創傷治癒遅延をきたし、歯周病の病態悪化に繋がると考えられている。ビタミン B6、B12 および葉酸は免疫応答および組織修復に深く関与するが骨再生・創傷治癒を有意に改善するという報告は少ない。よって本研究では、2 型糖尿病動物モデルにおける骨再生・創傷治癒にビタミン B6、B12 および葉酸がどのように影響するかに着目し,骨欠損・創傷治癒に対する作用とメカニズムの解明を目的とし実験をおこなった。 平成 28 年度は、骨欠損に対するビタミン B6、B12 および葉酸の影響を検証しすることを目的とし、生後 4 週齢の健常ラット(Wistar ラット)を用い、2 週間の予備飼育後、ビタミン B6、B12 および葉酸を含んだ溶液または蒸留水の経口投与を開始した。骨再生の検討を行うため、投与 4 週間後、ラット頭蓋骨部に左右対称の直径 2.8 mm の骨欠損を作製した。術後 2 ヶ月間の骨治癒の変化を マイクロ CT にて観察し、解析を行った。解析の結果、ビタミン投与群においてコントロール群と比較して有意な骨再生がたみとめられた。また、ビタミン投与群における体重の減少および血糖値の上昇等はみとめられなかった。2 型糖尿病ラットは高価であり、実験費の都合上、2 型糖尿群での比較検討を行うことができなかったが、2 型糖尿病の病態におけるビタミン B6、B12 および葉酸摂取の影響を検証するには 2 型糖尿病ラット群での検証が必要不可欠であり、炎症性サイトカインの変化や抗酸化能の検証なども含め、今後の研究課題となる部分である。 また、歯周病と糖尿病との関連性においてより深い検証を行うためにも、実験的歯周炎モデルを用いた比較検討を行う必要があると考える。
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