研究課題
若手研究(B)
歯周疾患のうち薬物性歯肉増殖症は、歯肉線維芽細胞の増殖や炎症反応の亢進などを伴うことが知られているが発症機序の詳細は未だ明らかにされていない。そこで歯肉増殖症が報告されている薬物 (シクロスポリンA、フェニトイン、ニフェジピン)について、サイトカインHigh mobility group box-1(HMGB1)の動態に着目し、本研究を行った。平成25年度は以下の結果を得ることができた。マウスのマクロファージ様細胞株RAW細胞培養系に、シクロスポリンA、フェニトイン、ニフェジピン、それぞれを添加し、24時間後の培養上清中のHMGB1タンパク質濃度を測定した。その結果、シクロスポリンAにより濃度依存的にHMGB1が放出されることが明らかとなった。一方、フェニトインやニフェジピンでは培養上清中にHMGB1の放出を認めなかった。また、薬物によるRAW細胞への細胞障害性を、培養上清中に放出された乳酸脱水素酵素により測定したところ、いずれの薬物の濃度でも、無添加群に比べて有為な細胞障害性は認められなかった。以上の結果は、シクロスポリンAによるHMGB1の放出機構が、Active releaseであることを示唆している。
2: おおむね順調に進展している
実験は予定通り進んでおり、今年度は、マウスのマクロファージ様細胞株RAW細胞を用いた実験系で、シクロスポリンAによりRAW細胞から、HMGB1が放出されることを同定した。今後は、放出機序について、より詳細に検討する予定である。
薬物性歯肉増殖症に関連する薬物のうちで、シクロスポリンAが免疫担当細胞からHMGB1を放出することを確認した。今後は、そのシグナル経路の同定を中心に研究を遂行していく予定である。
次年度使用額が生じた理由は、今年度はシグナル経路の同定の前段階として、実験条件の検討を適切に行っているためである。次年度も引き続き実験の条件検討を行い、条件が整い次第、シグナル経路の同定へと研究計画を進める。
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