研究課題/領域番号 |
25862070
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
阿部 貴惠 北海道大学, 大学病院, 助教 (00455677)
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研究期間 (年度) |
2014-02-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 要介護高齢者 / 口腔管理 / 超高齢社会 |
研究実績の概要 |
高齢者や要介護高齢者の口腔は欠損やう蝕、歯周病の進行により複雑化している。それに加え、多数の全身疾患も併発していることを考えると、歯科治療介入は困難となっているのが現状である。高齢者の介護問題は深刻で、通院可能な高齢者だけでなく、通院困難な高齢者に対する歯科保健の関わりや歯科医療のあり方にも大きく影響を及ぼすと考えられる。口腔は摂食、嚥下、発音、唾液分泌など食や会話に直結する広範な機能を有し、口腔機能の向上により食の側面からは栄養を改善を通じて筋力向上、会話の側面からは社会交流を通じて閉じこもりやうつ予防に繋がることが期待できる。高齢者や要介護高齢者の口腔管理を行ううえで、全身所見や局所所見のみならず、高齢者の心理的な面、介護する側の面、社会的な面など、他覚的な面からも意見、問題点、改善点を収集する。さらに、それを解決する方法や歯科治療が特異的に関与できる点をクローズアップし、歯科医師として高齢化社会に貢献する礎を作る。平成26年度は、札幌市内にあるA病院のデイケアに通院している要介護高齢者16名(平均年齢85.8歳、男性8名、女性8名)の情報を収集した。聖隷式摂食嚥下質問表により摂食嚥下障害の有無の調査を行った。摂食嚥下障害有りは、25%で認め、そのうち口腔機能を反映している4項目に75%で該当していた。口腔関連QOL(GOHAI)では平均が50点と全国平均の55点より低めであった。摂食嚥下質問表と口腔関連QOL(GOHAI)は、摂食嚥下障害有はGOHAIは平均より低めであることが判った。また過去2か月の体重減少や発熱・肺炎の既往は6%で認められた。食事形態は全員が常食を摂取していた。口腔内の状況は無歯顎が多く、義歯を装着していたが、ここ数年歯科医院を受診していないという状況であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢者や要介護高齢者の調査協力を依頼するにあたり、病院への通院やデイサービスなどに通院している場合が多く多忙であり、調査協力依頼するにあたり母集団の条件設定を再検討しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は母集団の条件を整え、N数を増やし調査を継続する予定である。また対象である高齢者は読み書きが困難な方もいると想定しており、その場合の対応として質問内容をインタビュー形式で行うことも想定する。本人への聞き取り調査が出来ない場合は、介護者や家族の協力を依頼し現状調査を行うことも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査を依頼する関係各所との調整が難航し、予備調査の段階までしか施行出来ていないため
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次年度使用額の使用計画 |
調査対象を市外へと拡大した際の交通費や調査に必要な機材の購入費として検討している。
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