精緻な舌運動は摂食嚥下時に重要な役割を果たしている.舌運動時の大脳皮質の役割を明らかにするために,舌等尺性運動時の脳磁図と筋電図のコヒーレンス解析を行った.脳―筋コヒーレンスは左右側の舌ともに両側半球で2つの異なる周波数帯域(15-35 Hz [β帯域],2-10 Hz[低周波数帯域])に認めた (Neuroimage 2014; 2016).β帯域のコヒーレンスは主に運動野から舌筋への運動コマンドを反映していた.一方,低周波数帯域のコヒーレンスは舌筋から体性感覚野への感覚性フィードバックを反映していた.このような皮質と舌との双方向の情報伝達により舌の精緻な運動が可能になっていると考えられた.
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