岩手県花巻市大迫町在住の55歳以上の地域一般住民に対し医科・歯科検診を実施し,十分なデータを取得できた409人を対象に,歯周病と動脈硬化についてそれぞれの評価指標が示す異なる病態を考慮しつつ両者の関連を検討した.その結果,歯周組織の炎症を表す歯周ポケット深さと組織破壊の累積を表す歯槽骨吸収度は,多因子で補正後もそれぞれ異なる動脈壁硬化の指標と有意に関連していることが示された.すなわち,歯周病と動脈壁の硬化の関連には,評価指標の特性によって異なる特徴があることが示され,歯周治療による良好な口腔衛生状態の維持が動脈硬化の異なる病態に対してその予防および改善に有効である可能性が示唆された.
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