研究課題
先行研究におけるアンケート調査において、高齢者施設入所者の食事形態は個人の摂食嚥下機能が全く反映されておらず、食事形態の選択においての医学的根拠は皆無だった。また嚥下内視鏡検査(以下VE)結果より、施設入所の約半数以上に食物の誤嚥や咽頭残留がみられることを明らかにした。一方、肺炎は日本の3大死因の一つとなり、中でも高VE齢者の誤嚥性肺炎との関係が指摘されていることを踏まえ、施設入所の要介護高齢者の不適切な食事形態と誤嚥性肺炎の発症率との関係についてを明らかにすることを研究目的とした。2年目の研究成果として初年度に引き続き、1.先行研究にて協力を得た16件の施設入所している89名の要介護高齢者のうち、アンケート(食事形態の変更と肺炎について)を郵送し、回収の得られた46名(男性18名、女性28名)の誤嚥性肺炎の発症について追跡調査を行った。2.46人中追跡調査中に誤嚥性肺炎の診断を受けた者は9名だった。誤嚥性肺炎群9名(男性4名、女性5名、平均年齢81.6±7.7歳)のVE結果は、咽頭残留3名、喉頭侵入3名、誤嚥1名、唾液誤嚥無しであった。誤嚥性肺炎無し群37名(男性14名、女性23名、平均年齢79.9±10.9歳)のVE結果は咽頭残留10名、喉頭侵入14名、不顕性誤嚥3名、誤嚥2名、唾液誤嚥2名であった。VE結果における各項目と肺炎発症についての統計学的有意差はみられなかった。
2: おおむね順調に進展している
H26年度は研究協力者の追跡調査が完了しデータ解析中のため、概ね順調と考える
施設入所者が対象被験者のため、死亡や転院などの理由から、今後も追跡調査数は増加しないと予測されるためデータ収集は終了とし、予定通り今後はデータ解析を行う。
参加予定だった学会に参加できなかったため。
研究補助員の雇用に充てる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Arch Gerontol Geriat
巻: 59(2) ページ: 480-484
10.1016/j.archger.2014.04.009