研究課題/領域番号 |
25862077
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
寺中 智 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (40510326)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症 / NIRS / 口腔内認知能力 |
研究概要 |
食事は高齢者の日常生活で大いなる楽しみの1つである。口唇と口腔内は食物を認識する最初の器官である。高齢者人口の増加に伴い、認知症の高齢者も増加している。認知症は義歯の不使用、食事量の減少、低栄養、嚥下困難を引き起こすことから、認知機能の低下は口腔感覚の低下と密接に関係していると考えられる。本研究では、健常成人が口腔内認知能力(Oral Stereognosis Ability: OSA)試験を行っているときの前頭前野活動をNIRS (Near Infra-Red Spectroscopy)を用いて測定し、認知脳活動と口腔内認知能力との関連性について検討した。 被験者は12名の健常性成人(30.5±4.2歳)とし、被験者全てにNIRS(32ch)測定下でOSAテストを行った。ただし、感覚機能に障害がみられる可能性のある者、すなわち、口腔粘膜疾患のある患者、身体に麻痺のある患者、脳血管障害の既往のある患者を被験者から除外した。OSAテストは形の異なる8種類のレジンブロック(規格化した幾何学的物体、長さ13㎜、厚さ2mm)を用いた。被験者には閉眼してもらい、乱数表を基にした順序で口腔内にブロックを入れて、感知した物体と図形で示したものと一致するか点数化した。また、検査終了まで正解、不正解を被験者に言わないこととし、ブロック形状の違いによる誤答率ならびに前頭前野の脳活動変化を検討した。 OSAテストの結果、三角形状の誤答率が低く(11.4%)、楕円に近い形状の誤答率が高かった(34.1%)。誤答率が低い形状は前頭前野の活動に有意な変化は認められず、誤答率が高い形状は前頭前野の有意な活動変化を認められた。これは誤答率の低い形状は尖部な箇所が明確にあり、舌で認識し易く、あまり悩まずして判別できると考えられるので大きな活動変化がなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NIRSの研究デザインを組む中でターゲット課題として咀嚼・かなひろいテストの他、Nバックを検討している。ところが、Nバックは難易度が高いので被験者設定している65歳以上の高齢者は適当な課題とは言えないため、他の適当なターゲット課題を現在模索中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は咀嚼・前頭前野の活性化のによってOSAのスコアの改善などが認められたら、老人施設、または回復期リハビリテーション病棟等でのデータ採取を試みる予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験機器(NIRSシステム)を購入済みだが、事務手続き上のため次年度使用額が生じた。 ポータブルのNIRSシステムを購入済み。
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