研究課題/領域番号 |
25862077
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
寺中 智 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (40510326)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症 / 近赤外線分光法 / 口腔内認知能力 / 前頭前野 |
研究実績の概要 |
高齢者に対する食事は生活における大いなる楽しみの1つである。口唇と口腔は食物を認識する最初の器官である。従って口腔内認知能力を検討することは摂食嚥下機能を考察するために意義があり、さらに前頭前野活動との関連は、認知症患者や高齢者の摂食嚥下機能を検討する基礎データになり得る。本研究は、健常成人が口腔内認知能力(OSA)試験を行っている時の前頭前野活動をNIRS (Near Infra-Red Spectroscopy)を用いて測定し、認知脳活動と口腔内認知能力との関連性について検討した。 12名の健常性成人に対してOSAテストを行った。被験者には閉眼したまま口腔内に形の異なる8種類のレジンブロックを入れて、感知した物体と図形で示したものと一致するか点数化した。ブロック形状の違いによる誤答率、前頭前野の脳活動変化を検討した。測定したNIRSデータで、其々のブロック形状の違いや、ブロックを調べる前と探索中、解答時~解答終了後の脳血流平均値を、各々全てのチャンネルにおいて検討した。 NIRS下でOSAテストを行ったところ、各場面で前頭前野領域に活動変化を認めた。即ち楕円形を調べる前と探索中、調べる前と解答時~解答終了後を比較すると、32chのうち6か所で解答時~終了後に有意な活動変化が認められた。同様に三角形では4か所で解答時~終了後に有意な活動変化が認められた。三角形の誤答率が低く(11.4%)、楕円形状の誤答率が高かった(45.4%)。OSAテスト最中、探索中の脳血流量は三角形で2箇所、楕円形で3か所で認められた。先行研究としてNIRSを用いずに健常高齢者にOSAテストを行ったところ、ブロック形状や測定条件は異なるが、同様な結果を得られ、今回NIRSで測定した結果と矛盾しなかった。今後としては高齢者対象に可搬型NIRSを用いて前頭前野を賦活させる検査を追加し新しい知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
臨床及び研究のバランスが悪く、研究に費やす時間が少なく、予定より計画が遅延している。また、新たなる研究課題について研究機関の倫理員会の申請に6か月くらいかかったため、やや遅延し、現在研究データ採取中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、採取しているデータについて再度検討を行い、対象被験者を拡大し、NIRSによるOSA施行、口腔リハビリ(舌のROMなどの可動域訓練など)による前頭前野の活性化を検討予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を学会、研究会に発表、論文などに公開するために必要とされる。
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次年度使用額の使用計画 |
論文作成、校正、英文翻訳などに使用予定である。
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