研究課題
本研究は、効果的な周術期口腔機能管理を行うため、肺や食道など部位の異なる癌患者の口腔内の特徴を明らかにし、周術期において予知性を持って効率的に歯科介入を行う戦略を検討するものである。具体的な目的は、周術期口腔機能管理を行った患者において、①全身状態、口腔内の状態、生活習慣等を記録し、データベース化すること、②医科疾患で異なるであろう口腔内の状態の特徴を明らかにし、各部位の癌患者に対して、特に行うべき歯科治療やその効果について検討すること、③予知性を持って歯科治療を行い、口腔機能管理の効果を検討すること、である。平成25年度は、肺癌患者と食道癌患者のデータベースの作成、データの解析を行った。特に、食道癌患者の口腔内の状態、癌治療、歯科治療、術後の経過を深く掘り下げ検討した。その結果、食道癌患者では、術後の回復を促進するためには、義歯等を早期に作製し咬合・咀嚼機能を改善することによって経口栄養摂取を可能にすることが重要であることが分かってきた。これらの結果は症例報告として論文発表した。また、頭頸部がん患者に口腔ケアを行った2症例についても症例報告として論文発表を行った。平成26年度は、食道癌患者の口腔内の状態と手術後の予後予測因子との関連について検討を行った。口腔内の状態が不良であると手術後の予後も不良となる可能性が示された。また、肺癌、食道癌に加えて、乳癌、脳腫瘍、婦人科系癌(子宮体・頸癌、卵巣癌など)など、部位を増やして口腔内の状態の検討を行った。癌の部位によって、口腔内の状態にも特徴があることが分かってきた。平成27年度は、上記の内容の分析やまとめを行い、国内外の学会で発表した。現在、論文作成中である。また、周術期口腔機能管理の意義や実際について、著書の一部を執筆した。
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Intern Med.
巻: 54(14) ページ: 1809-1814
J Appl Oral Sci.
巻: 23(1) ページ: 64-70
http://hospitaldentistry.cc.okayama-u.ac.jp/
http://okadaiperioperative.com/