摂食嚥下機能は、日常生活の中で大きな割合を占めており、その機能の低下や破綻は健康な生活を送る上で大きな障害となりうる。誤嚥や窒息といった摂食嚥下障害の中でも咽頭部で生じる問題は、危険性が大きく生命危機に直結する。そのため、咽頭部分の検査は、精度が求められるとともに検査場所を選ばない簡便な方法の開発が求められる。 超音波画像装置は軟組織の描出にすぐれた透視機器であり、持ち運びも可能な装置も多い。生体への侵襲も無いことから簡便に使用できるが、平成25年度の研究結果より描出画像の精度の問題があった。今回、マイクロバブルを含んだ超音波造影剤を作成して画像描出の精度を改善させ、咽頭部での誤嚥や窒息に直結すると考えられる咽頭残留の描出方法について検討を行った。 超音波造影剤の造影性については、水中に留置したビニールチューブ内を通過させた時の超音波画像の画像を用いた。蒸留水と超音波造影剤の画像上で輝度計測を行い、造影性の差として数値の差を比較した。その結果、超音波造影剤を使用した画像の輝度が蒸留水の輝度より高く、チューブ内に停滞している状況についての描出が容易であることが示された。 嚥下時の様子は、嚥下障害を認めない健常者2名を対象に、内視鏡を用いて咽頭内部の様子を超音波画像と同期させて評価を行った。超音波の描写野を梨状陥凹付近に設定し、超音波造影剤が流入している様子を描出した。試験食品の流入や貯留状態は、描出画像上での評価が容易であり、嚥下後には消失する様子が観察された。今後は、試験食品の流入速度や形状による違いなどについて画像解析をするとともに、誤嚥や窒息など問題となる場合の超音波画像所見について検討していく必要性がある。
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