研究課題/領域番号 |
25862086
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
遠藤 眞美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70419761)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口腔内違和感 / 擦過細胞診 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
今年度は日常生活の楽しみや満足に直接的な影響をする食事に関する違和感として味覚について昨年に加えて詳細な検討を実施した。 初年度に実施した高齢者968人の質問票調査で,味がおかしいと感じている者は「天気が悪いときに関節の痛みや頭痛を感じる」などとの間に有意な関係があることを明らかにした。「天気の悪いときの関節痛」は,体内に水分を貯留しやすい水分代謝不良によって気圧の変化から神経圧迫の結果と考えることができる。そこで,本年度は,味がおかしいと自覚している者のうち,すでに医療施設を受診して治療効果がない,または治療方法がない特発性味覚障害と診断された82人を対象に検討を行った。そのうち,口腔内診査で舌が正常よりも大きく,歯列内に収まりにくく腫れぼったい状態(舌浮腫)や舌の辺縁に歯型(歯痕)を認め,なおかつ初年度に実施した質問票で「手足がむくみやすい」,「天気が悪いときに関節の痛みや頭痛を感じる」と回答した45人の味覚障害の原因は水分代謝不良であると推察し,水分代謝効果のある漢方薬を応用して症状の自覚や口腔内変化を観察した。治療開始半年後の自覚症状では91.1%が治癒または改善と自覚し,優位に改善していた(p<0.01)。改善に従って,不安や嫌悪の表情の消失を実感したが,来院時まで他の医療機関に対する不信感や治療方法がないといわれたことによって口腔内違和感の悪化に対する強い不安など対象者それぞれが複雑な経過をたどっており,表情には多くの交絡因子の影響が推察され,分析には至らなかった。以上から,明らかな器質的変化や検査値に異常を認められないからと安易に特発性味覚障害や口腔心身症と診断し,経過するのではなく,口腔観察と共に適切な診断し,治療方針を決定することが必要であることがわかった。そのためにも口腔粘膜の微妙な違和感を評価できる細胞変化を明らかにすることが急務であると考えらえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は,所属変更のために研究の遂行が困難であった。理由として,研究フィールドの確保,機器・機材の整備,倫理委員会への申請などである。最も大きな理由として,約1000人に行った予備調査内容をふまえて,各種口腔内違和感の自覚症状とリスク因子の関係の追加調査後に細胞診を実施する予定であったが,研究所属機関の変更のためそれらが実現できなかったことである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は新たに協力してもらえるフィールド確保を行い,早急に研究計画を実行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,所属変更のために,研究フィールドの確保,機器・機材の整備,倫理委員会への申請などの準備ができなかったために物品の購入,実際の研究の遂行が出来ずに予算を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究を遂行するためにパーソナルコンピューターを購入し,実際の研究計画から遂行まで効率的に実施できるように計画を立てる。また,本研究に必須ともいえるアメリカ国で産生されていたサイトブラシが発売中止となっていることから新たに数種類のサイトブラシを購入して研た究んぽできるかどうかの検討も行う必要があり,消耗品の購入が例年より増加する予定である。
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