研究課題/領域番号 |
25862091
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
晴佐久 悟 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10330961)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 産業歯科保健 / インターネット健康教育 / フィードバック健康教育 / teledentistry / ICT |
研究概要 |
本研究初年度の目的は、職域においてIT技術を利用した事前教育と事後フィードバック教育を組合せた新しい健康教育プログラムを開発し、そのプログラムの試用、改善をすることである。 まず、Survey Monkeyを使用し、Web上で自覚症状、自己認識、生活習慣を入力するツール、手鏡とデンタルミラーを使用して口腔の自覚症状および、歯、歯肉、舌、口腔粘膜の状態を自ら確認し、正常、異常な状態を比較するツール、およびWeb上で歯科保健の自己学習ツールの3つを作成した。このツールを関係者5名に実施してもらい、ツールの満足度、改善点について調査し、改善を行った。その後のフィードバック健康教育が実施できるように、フィードバック健康教育用シートのデータベースプログラムおよび健康教育実施者のための実施マニュアルを作成し、学会で発表した。 一連のシステムが正常に作動するかの確認・調整を行うために、某事業所労働者20名を、事前の健康教育および事後のフィードバック健康教育実施群(新プログラム実施群)13名、事後の通常の健康教育を実施した群(対照群)に分けてシステムを実施した。その結果、歯科医師の口腔内検査および相談に「非常に満足した」者の割合は、新プログラム実施群、対照群で、それぞれ、64%、33%であり、新プログラム実施群のほうが高い傾向が認められた。また、歯科衛生士の指導では、「非常に満足した」者の割合は、64%、50%であった。これは事前の健康教育や口腔のセルフチェックが自己の口腔保健意識の向上に繋がり、また歯科保健関係者との保健相談がその場での実施よりもさらに効果的になったと考えられる。 以上のことから、この新プログラムは、受診者にとってより満足のいくプログラムとなり、今後このプログラムの実施対象者を拡大し、このプログラムが保健知識、意識、行動にどの程度影響を及ぼすかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究初年度の目的は、職域においてIT技術を利用した事前教育と事後フィードバック教育を組合せた新しい健康教育プログラムを開発し、そのプログラムの試用、改善をするということであり、これらの目的はすべて達成できた。 しかしながら、Webを利用することにより、Webにアクセスできない人や、アクセスが面倒という人が出てきてしまい、実施率が低い傾向が認められた。このことから、紙媒体による事前の健康教育プログラムを次年度以降に新たに開発する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、まず、Webを利用するための実施率の低下を防ぐため、紙媒体による事前の健康教育プログラムを次年度以降に新たに開発し研究に利用する。また、このプログラムの効果を確認するための企業を募集する。すでに数事業所に打診しており、内諾を得ている。さらに初年度で開発したプログラムを学会で発表し、プログラムに関する意見を聞いて改善するとともに参加企業を募集する。参加の承認が得られた企業に対し、順次このプログラムを数回実施し、口腔の自覚症状、生活習慣予防の知識、意識、行動の介入前後の変化を統計的手法を用いて比較する。
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