市販の口腔保湿剤や洗口剤には化学薬品が含まれているため口腔に対する副作用が懸念されている。そこで今回、副作用がない(あっても少ない)植物性及び動物性食品の口腔保湿剤としての可能性を調べるため、水分保持能力と粘度を測定した。 蒸留水とヒアルロン酸を比較物質として、乾燥食品の自然薯、ジャガイモ、里イモ、オクラ、シイタケ、ワカメ、青梅の抽出液、オレンジとザクロの果汁、緑茶とシナモンの浸出液、及び生鮮食品の牛乳、卵白、卵黄、市販ゼラチン粉と魚粉を用いた。In vitro水分保持能力の測定はろ紙試験法で、粘度は粘度測定装置SV-10を用いて、温度37℃で測定した。 水分保持能力を示す残存重量6.0 mgの時のろ紙表面の残存水分量は蒸留水、オレンジ、ザクロ、シイタケ、ワカメ、緑茶、シナモン<牛乳、卵白、ゼラチン<ヒアルロン酸、卵黄<青梅<魚粉、オクラ<自然薯<ジャガイモ<里イモ、熱処理ジャガイモ、熱処理里イモの順だった。ヒアルロン酸よりも弱い9種類の食品の粘度は0.70~19.3 mPa・s、強い9種類は0.78~10.8 mPa・sの範囲であった。 残存重量6.0 mgの時の残存水分量で比較すると、植物性で5種類、動物性で2種類の食品がヒアルロン酸と同程度か、より強い水分保持能力を示した。オクラはその粘液成分が強い水分保持効果を発揮すると推測された。デンプン含有の自然薯、熱処理ジャガイモ、熱処理里イモが高い粘度と強い水分保持能力の両方を有していた。動物性食品では卵黄と魚粉が低粘度で、やや強い水分保持能力を有していた。これらのことから、オクラ、自然薯、熱処理ジャガイモ、熱処理里イモが強い水分保持能力ととろみ度を有することが示唆された。
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