研究課題/領域番号 |
25862099
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
會津 桂子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (90436014)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看護教育 / 思考 / 学習 |
研究概要 |
目的:看護学生を対象とした新規に考案した思考・判断力育成プログラムを実施し、実施前後の思考・判断力を定量的に評価することで、新規の教育プログラムの有効性を検討する。 1.H25年度の目的:看護初学者である看護学生の知識構造の特徴を、認知心理学的実験手法を用いて明らかにする。2.対象:A大学看護学専攻2年次学生19名。3.データ収集方法:①自由再生課題:30語からなる看護用語リストをパソコン画面上に各用語3秒間提示して記憶させ、30秒後に記憶した用語を自由な順番に口頭で再生する自由再生を求めた。用語の提示順を変え6試行実施した。②分類課題:自由再生課題で提示した30用語を、「普段の自分の考えにおいて同じグループに属する用語」に分類するように求めた。4.知識の構造化の程度に関する尺度:カテゴリー体制化尺度であるARCS(猪木,1989)を用いた。0~1の数値で表され、体制化の程度が高いほど1に近い値を示す。 5.結果:平均ARCS得点は、試行回数を重ねるごとに上昇し、6回目の試行で最高値(0.32)を示した。正再生数は、試行回数を重ねるごとに上昇し、6回目の試行で最高値(25.10)を示した。体制化得点と正再生数の間では、2~4回目の試行において有意な正の相関がみられた(p<0.01)。 6.考察:2~4回目の試行において、知識が高度に構造化されている者ほど用語を正しく再生できたことから、新たな情報を獲得する際には、知識が高度に構造化されているほど、記憶した情報を正しく想起しやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
看護学生の思考・判断の基盤となる、知識構造に関する資料が得られた。これらの資料は、今後、看護学生を対象とした思考・判断力育成プログラムを考案するための資料となる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の結果より、看護学生が新たな知識を学習する際は、既存の知識と関連付けて学習するなど、知識をより構造化する学習方略を用いることで、問題解決の際に効果的に知識を活用できることが示唆された。今後は、学習者の知識構造と思考過程に加え、学習方略にも着目する。学習者の知識や思考、学習過程の認識に注目した教育技法を取り入れ、教育プログラムを考案し、実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、新規プログラムによる教育介入を実施していない看護学生の知識構造及び思考判断力について分析する予定であった。しかし、知識構造については一定の示唆が得られたが、思考判断力については分析が不十分であると考えられた。そのため、思考判断力の分析方法を再考し、内容分析のためのソフトの購入を見合わせたため、次年度使用額が生じた。 思考過程の分析方法を再考し、思考内容の分析に必要なソフトの購入および、分析協力者を依頼し、協力謝金に充てる。
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